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【TGS2026】コジマプロダクション、攻殻機動隊、そして自社デバイスへ|WALLHACKがTGS2026で見せたブランド拡張の現在地【現地レポート】


過去最長となる5日間の会期を予定していた「東京ゲームショウ2026」(TGS2026)。今年のTGSは台風25号の接近に伴い、最終日の9月21日が中止に。会期4日間の総来場者数は25万7642人、53の国・地域から1138の企業・団体が様々なブースを出展していました。

そんなTGS2026で、ホール10のeSportsエリアに、周囲とは明らかに温度の違う一角がありました。デンマーク・コペンハーゲン発のゲーミングギアブランド「WALLHACK」のブース(10-C05)です。

黒と金属光沢で構成された空間は、展示会のブースというより、工房やギャラリーに近い佇まい。LEDが乱舞するホール10にあって、そこだけが静かに沈んでいました。この「静けさ」こそが、いまWALLHACKというブランドが提示しているものの核心だと感じました。

ガラスパッドの先駆者がデバイスメーカーへ

WALLHACKは、強化ガラス製マウスパッドというカテゴリーそのものを一般化させたブランドです。旧名「SkyPAD」時代から競技シーンでの実績を積み上げ、現在の主力である「SP-005」は幅510mm×高さ440mmという大判サイズで、プロ選手のデスクにも多く採用されてきました。

そのブランドが7月31日、同社初となるキーボード「K-001」とワイヤレスマウス「M-001」を発表。いずれもコペンハーゲン本社でデザイン・設計され、ゲーミングデバイスを単なる機能性製品ではなく、細部へのこだわりによって選ばれる「道具」へと昇華させることを掲げています。

▲ゲーミングキーボード「K-001」とワイヤレスマウス「M-001」(公式リリースより)

同社CEOのラスムス・ウェバー・フレドホルム氏は、バング&オルフセンやハンス・J・ウェグナーを輩出した国に育ったこと、そしてライカがカメラで証明してみせたように、スペックの優劣だけではない「優れた道具とは何か」を問い直したと述べています。ガラスパッド専業だったブランドがデバイス市場に参入する——その動機が性能競争ではなく設計思想の側にある点が、他社との決定的な違いでしょう。

53グラムのマグネシウム合金——新型マウス「M-001」

ブースの中心に据えられていたのが、新型ワイヤレスマウス「M-001」です。ダイキャスト成形されたマグネシウム合金シェルを採用し、重量は53g(±2g)。素材はAZ91Dマグネシウム合金で、CNCによる後加工が施されています。上面をあえて塞いだまま、底面側を大きく削り出して内部構造を露出させることで軽量化を実現しているのが特徴です。

つまり、穴だらけの「ハニカムシェル」で軽さを稼ぐ近年の軽量マウスとは、真逆のアプローチを取っている。上から見れば継ぎ目のないマットな金属面、裏返せば骨格がむき出しという構成は、工業製品としての美意識と割り切りが同居しています。

中身も妥協はありません。センサーはPixArt PAW3950を搭載し、最大30,000DPI、8,000Hzのポーリングレートに対応。MCUはNordicのnRF54L15、クリックにはOmron D2FP-FN2オプティカルスイッチ(耐久7000万回)、ホイールにはTTC Goldの防塵エンコーダーとアルミ製ホイールを採用しています。サイズは120×64×39mmで、左右対称のスモール〜ミディアム形状。特定の持ち方に最適化しすぎない、ニュートラルな設計です。

レシーバーが「操作盤」になるという発想

そしてM-001でもっとも語るべきは、電源まわりの割り切りかもしれません。本体にUSB-Cの充電端子は存在せず、250mAhのバッテリー2個が付属。片方をマウスで使用している間、もう片方をレシーバー側で充電しておき、切れたら数秒で入れ替える——という運用を前提にしています。8,000Hz運用時の消費電力を考えれば、ケーブルを挿して有線に切り替える従来の”妥協策”より、はるかに筋が通った解答です。

またレシーバー自体も、単なるドングルではないことが証明されています。前面にDPIとポーリングレートを操作する物理ダイヤルを備えた、レトロな佇まいの据え置き型。一眼レフのダイヤルを回すような操作感で設定を変えられる仕組みで、机上に置いてもインテリアとして成立する存在感があります。ソフトウェアの階層を潜らずに手で触って変える——この一点に、このブランドの思想が凝縮されているように思えました。

「K-001」と会場限定のエイム企画

隣に並んでいたのが、8月21日に発売されたキーボード「K-001」。アルミニウムの塊から削り出したフレームにビーズブラストとアルマイト処理を施した65%レイアウトで、Gateronと共同開発した磁気式カスタムスイッチ「WALLHACK KS-TR Linear Switch」を搭載。8,000Hzポーリングレート、ラピッドトリガー、アクチュエーションポイント設定に対応します。設定はWebベースのソフトウェア「WALLHACK Terminal」で完結し、専用アプリのインストールは不要です(価格は4万4000円)。

ブースでは、この2製品を実際に使ったエイムの腕試し企画が実施されていました。エイム練習ソフト『Kovaak’s』のWALLHACKオリジナルシナリオをプレイでき、各日のトップスコアと会期通してのトップスコア記録者にK-001などが贈られるという内容。使用できるPCは2台。加えてブース内で製品を撮影し、ハッシュタグ「#WALLHACKTGS26」を付けて投稿すると特製バッグとノベルティがもらえる企画も行われ、ビジネスデイ2日目でも開幕30分程度で配布が終了したとのことでした。

発売日に会場はクローズへ

M-001の発売日は9月21日、価格は3万円(税込)。まさにTGS最終日と重なる日付であり、同社はこの日に合わせて「M-001 Launch Party」の開催も予告していました。しかし、その21日は台風によってあえなく中止に。30年の歴史で初めて会期中にTGSが無くなった日に、一本の新製品が静かに発売を迎えたことになります。

▲コジマプロダクションとのコラボ企画で生まれたガラス製マウスパッド「SP-005 KJP」

それでも、このブランドの立ち位置は明確になりました。9月8日にはKOJIMA PRODUCTIONSとのコラボガラスパッド「SP-005 KJP」2種(21,100円/2,000枚限定)を発売し、過去には『攻殻機動隊』とのコラボも手がけています。ゲーミングギアを「速さの道具」から「所有する喜びのある道具」へと引き上げようとする試み。その実物が触れる状態で置かれていたことが、このブースの価値でした。

取材:eスポーツニュースジャパン

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