【TGS2026】デバイスは「性能」から「推しを置く場所」へ「ふもっふのおみせ×Arbiter Studio」ブースが示した周辺機器の現在地【現地レポート】
2026年9月17日から21日まで、千葉・幕張メッセにて「東京ゲームショウ2026」(TGS2026)が開催されました。
17日・18日がビジネスデイ、19日からが一般公開日という、TGS史上最長となる5日間の会期です。ただし最終日となる21日は台風25号の接近を受けてリアル会場での開催が中止となり、一部の公式番組のみがオンラインで配信される形となりました。結果として実開催は4日間、総来場者数は25万7642人と発表されています。
その広大な会場のホール10に構えられていたのが、「ふもっふのおみせ × Arbiter Studio」ブース(ブース番号10-E20)です。ゲームタイトルの試遊台が並ぶメインホールとは異なり、ここに並んでいたのはマウスとキーボード、そしてマウスパッド。しかしその棚を眺めていると、ゲーミングデバイスというカテゴリーがいま置かれている位置が、かなりはっきりと見えてきます。
「総代理店」がブースを構えるということ
ふもっふのおみせは、株式会社フェルマーが運営する海外ゲーミングデバイス専門のオンラインショップです。特徴的なのは、各ブランドと日本国内における総輸入元・総販売代理店契約を締結し、輸入から販売、そしてアフターサポートまでを自社で担っている点にあります。海外製デバイスにつきまとう真贋や保証の不安を、代理店として引き受ける立場と言い換えてもいいでしょう。2024年末には秋葉原にショールームも開設しており、「ネット通販で眺めるしかなかった海外デバイスを実際に触れる場」を積み重ねてきた事業者です。
今回のTGSは、そのパートナーのひとつである米国のゲーミングハードウェアブランド「Arbiter Studio」との共同出展という形を取りました。Arbiter Studioは米カリフォルニア州を拠点に、Baron Lee氏とAlbert Jin氏が設立したブランドです。磁気スイッチキーボードやカーボンファイバー製マウス、プレミアムガラスマウスパッドなどを手がける一方で、東宝(ゴジラ)、ANYCOLOR(にじさんじ)、Crunchyroll/MAPPA(チェンソーマン)、Aniplex(鬼滅の刃/鋼の錬金術師)といったIPホルダーとのコラボレーションを重ねてきました。
約39gと約40g──軽量化競争の現在地
Arbiter Studio側の新製品は3点です。
新型ワイヤレスゲーミングマウス「MONARCH」は、約39gという超軽量設計に最大8000Hzのポーリングレート対応を組み合わせたモデル。製品名は蝶の一種であるモナークバタフライ(オオカバマダラ)に由来しており、その軽やかなイメージを操作感と新設計の形状に反映させたとしています。軽量プラスチックシェルを採用し、カラーはブラックとホワイトの2色展開です。
もう1機種の「AKITSU MEDIUM」は、カーボンファイバー製マウス「AKITSU」シリーズの新モデルにあたります。約40gの超軽量ボディと最大8000Hz対応を継承しつつ、センサー性能を強化。新たな表面コーティングと、グリップの安定性および剛性を追求した改良型ソリッドサイドシェルを採用しています。素材違いで約39gと約40gが並ぶ構成は、軽量マウス市場がすでに「軽さの達成」から「軽さをどう作るか」の競争に移っていることをよく示しています。
そして「EXO60」は、Arbiter Studio初のカスタムキーボードケースです。60%レイアウトに対応し、互換性のあるPCBA(基板)やスイッチ、キーキャップを自分で組み合わせて一台を組み上げる、いわゆる自作キーボード市場向けの製品。完成品ブランドがケース単体を出すという判断自体が、ユーザー側の熟練度の高まりを前提にしたものだと言えます。ブースでは複数のカラーバリエーションが実物で並べられていました。
3万1980円のキーボードが意味するもの
一方、ふもっふのおみせ側の主役は、自社プロデュースのオリジナルIPコラボブランド「ふもコレ(Fumo Collection)」です。
すでに予約受付が始まっていたのは、『アイドルマスター シンデレラガールズ』および『ブルーアーカイブ』とのコラボ製品。『シンデレラガールズ』ではガラスマウスパッドが各種1万8980円(税込)で2027年2月ごろの発送予定、「キーボード 夢見りあむ」が3万1980円(税込)という価格帯です。『ブルーアーカイブ』では「ゲーミングマウスパッド 正義実現委員会&トリニティ自警団 CXL」が6980円(税込)、「キーボード トリニティ総合学園」(VARMILO・日本語配列)が3万1980円(税込)で、いずれも2026年12月ごろの発送を予定しています。
注目したいのは、これらが「キャラクターがプリントされた安価なグッズ」ではないという点です。ふもコレのキーボードは同社が代理店を務めるVARMILOの協力のもとで開発されており、3万円台という価格は本格的なメカニカルキーボードの実売価格帯そのもの。つまりこれは、デバイスにIPを乗せた商品であると同時に、IPグッズとして成立する実用機でもあります。デスク上に「推し」を常設するという需要が、周辺機器の価格帯を押し上げている構図です。

予約開始前の展示としては、『学園アイドルマスター』『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』『チェンソーマン』、そしてVTuberグループ「NIJISANJI EN」とのコラボ製品も並んでいました。NIJISANJI ENについては、エリーラ ペンドラ、狂蘭 メロコ、闇ノシュウ、クロード クローマークの4名をイメージした製品が展開され、マウス、キーボード、布製マウスパッド、ガラスマウスパッドと、カテゴリーはライバーごとに異なるとのことです。
BTO参入が示す射程の広がり
もうひとつ見逃せないのが、同社が2026年3月11日に立ち上げたBTOブランド「FOW(ふもっふオリジンワークス)」の展示です。メーカーを問わず幅広いルートからパーツを調達し、ユーザーの要望どおりにPCを組み上げるという方針を掲げており、ブースにもその実例となる一台が置かれていました。
周辺機器の輸入代理店が、キーボードやマウスを起点にBTO PCまで手を伸ばす。この流れは、ユーザーの「デバイスにこだわる」という行動が、マウス1個の選定からデスク環境そのものの設計へと広がっていることの裏返しでもあります。
「触って選ぶ」場としてのTGS
ゲームタイトルが主役のTGSにおいて、周辺機器ブースが担う役割は「実物を触れる場」に集約されます。とりわけふもっふのおみせが扱うのは、通販でしか出会えない海外ブランドや、予約制で数か月先に届くコラボモデルです。手に取って確かめられる機会そのものが希少であり、だからこそ会期4日間という短縮開催のなかでも、棚の前に人が立ち止まる光景が続いていました。
デバイスは性能を測る道具であると同時に、好きな作品を日常に置くための場所になりつつある。そんな二重性を、ふもっふのおみせブースは静かに提示していたように思います。
取材:eスポーツニュースジャパン






