「オフシーズンこそ他と差をつける期間」来シーズンに向けただひたすらに爪を研ぐBC SWELLにインタビュー!【後編】
2024シーズンのSplit2から新たにPremierからChallengersJPへの道が開通し、多くのチームが配信試合そしてその先にあるMain Stageを目指して戦いました。
この度、その熾烈な戦いを繰り広げたチームの中でも、特に積極的に補強を行いSplit2に対するただならぬ闘志を放ったBC SWELLのコーチ・選手たちにインタビューさせていただきました!
本インタビューは前編と後編に分かれており、この記事は後編となります。
前編の記事はこちら!
後編ではBC SWELL加入以前のことや、これからのことについてお伺いしました。
おまけもありますので是非最後までご覧ください!
BC SWELL 加入以前の話 「日本シーンと韓国シーンに壁はない」
──Jan選手は以前FAV gamingに所属して、2023シーズン終了後のオフシーズンから2024シーズンのSplit1まで韓国シーンにいて、Split2から日本のシーンに戻ってきたわけですが、その理由は何でしょうか。
Jan(敬称略):韓国にいるときはアマチュアチームで、FAV gamingが初めてのプロチームで、その環境がやっぱり忘れられなかったからですね。
Allen:正直あれだよね。日本リージョンと韓国リージョンってあまり差がないよね。韓国人が日本チームに入ることってよくあるパターンですけど、kAyle(現VARREL)もそうだし。特にチームどこに入るかという段階で韓国と日本は繋がってますね。
Jan:繋がってるね。
──あまり壁はないんですね。
Allen:そうですね。練習しているサーバーも一応韓国サーバーがありますけど、基本的にみんな日本サーバーだったりアジアサーバーだったりするので。
──今、インタビューさせていただいていて、Jan選手の日本語が本当にお上手だなと感じているのですが、なぜそこまで話せるのでしょうか。
Jan:VALORANTの前にやっていたBlack Squadというゲームで日本の友達を作って、その友達に面倒くさかったと思うんですけど色々聞いて勉強しましたね。
──日本語が流暢なJan選手ですが、IGLをしている中で突然何かを言わなければならないときに言語面で苦労することはありますか。
Jan:IGLするときは日本語が多いですけど、ゲーム内では英語も使うからそういう時は英語を使ってますね。
──使い分けることで解決しているんですね。
Allen:でもたまに意味合いが違うなという場面はあるんですけど、チームはそれも理解しているので、みんな「あっ、これを言いたいんだな」というのはくみ取れますね。
──続いてAllen選手について伺います。答えづらければスルーで大丈夫なのですが、Split1 Main Stage途中でTempura選手に代わってサブに回りましたが、あれはどのような理由だったでしょうか。
Allen:あの時はコーチに、自分の動きがチームの動きに対してあまりフィットできないなというのを伝えていました。それで「じゃあ、Tempuraを入れてみようか」という話になりましたね。
自分自身は悔しいと言えば悔しいですけど、やっぱり自分が未熟な状態で大会に挑むのは個人的に好きではないので、合わないのであればしょうがないなという感じで決断しました。
──チームを優先した判断だったんですね。
Allen:メンバーが変わってまた一からやり直しで、最初SCARZに入った時はみんなに合わせるように努力していました。
2024シーズンになって新しいメンバーが入ってきてからは、みんながみんなに合わせようとする感じがあって、もちろん自分がSCARZで経験してきたプレイスタイルとはまた少し違うんですね。そういった面で合う合わないが出てきてしまいました。
──2023シーズンのSCARZと2024シーズンのSCARZは別チームのような感じだったんですね。
Allen:そうですね、JemkinとかKr1stalとかフィジカルが強くてエントリーが得意な選手が入っていて、新しいSCARZはフィジカルで押し潰すというより作戦で狙うという動きが主軸になったのが大きいですね。フィジカルももちろん強いですけど。
──日本一をともに経験したSCARZを離れるタイミングで寂しくなったりしましたか。
Allen:ちょっとYoshiiiと離れるのは寂しかったですね(笑)まだメンバーとは全然仲が良くて、配信にコメントくれたり一緒にランクいったりしているので、全体的にはそこまでという感じです。
やっぱりチームゲームはチームの出入りが激しくて、チームを抜けたからといって関係が切れるというのはまずないので、そこは大丈夫でした。
──続いてPirateFlagコーチに伺います。PirateFlagコーチは以前VARRELに所属していましたが、そこで感じた課題は何でしたか。
PirateFlag:VARRELは日本寄りの運営スタイルなので、海外の人間がコーチを行ううえで言語的な問題はありました。私は自分がそこで無力であればそのチームに留まる必要はないと考えているので、チームにフィットする努力はしましたが、最終的にはなかなかフィットできなかったという感じです。
──元々はヨーロッパでコーチをされていたかと思います。最初はWestceptionでしたが、そもそもなぜ日本でコーチをすることを選んだのでしょうか。
PirateFlag:元々学生時代に日本に来たことがあって、その関係や日本が好きだったというのがありました。あとは元々Overwatchをやっていたりしてeスポーツも好きでした。
そこで今Team Secretでコーチをしている元チームメイトのDummyと話し合って、今集まれるとしたらVALORANT競技シーンが熱い日本が選択肢として挙がって、その日本に海外の影響を与えたら変わるんじゃないかという理由で日本を選びました。
BC SWELLのこれから「オフシーズンは実力の伸ばし時」
──これからは現在のことであったり、これからのことを伺います。今は一応オフシーズンということになりますが、どのように過ごされているのでしょうか。
PirateFlag:今はオフシーズンということで、スクリムとかの量は減らして、あとは個人技を伸ばすのを各自で取り組んでもらうことは伝えています。そして、配信やメディアへの露出も増やそうという感じです。
オフシーズンとはいえ、自分たちはオフシーズンは休みを取る期間ではなく、実力の伸ばし時と考えているので今一番努力している時期です。
Allen:自分もコーチとほぼ同じですけど、オフシーズンは休むときじゃなくて、今こそ差をつけられる期間だと考えています。
追い込みじゃなくて、時間をしっかり確保できる期間だからこそ練習スタイルを確立させて、安定して実力を伸ばしていくというのを目指しています。
Jan:今回の大会で得られた結果が今の自分たちの実力なので、そこで生まれた問題を修正して過ごしていますね。
──大会がしばらくない中で、チームとしての練習や個人技を伸ばすというのは、外から見るとなかなかモチベーションを保つのが難しいと思うのですが、実際どうなのでしょうか。
PirateFlag:BC SWELLは土日にしっかり休んで、練習形式もコーチ・選手たちに任されている感じでチームの環境が良くて、必要以上のプレッシャーを感じずのびのび練習できているのでモチベーションに影響はないです。運営が選手たちを信頼してくれているというのも大きいですね。
Allen:モチベーションに関しては、大会は終わりましたけど個人としては伸びしろがあるので影響はないです。スクリムとかでも最初は連続で負けていたりしましたけど、大会後の修正を重ねることで強くなっている実感はあるのでモチベーションは逆に高まっています。
──新たに結成されたからこそという感じでしょうか。
Allen:そうですね、「まだまだ伸びるじゃん!やった!」みたいな感じで、モチベーションは大丈夫です。
──新しいゲームを始めた時みたいな感覚ですね。
Allen:そんな感じです!
──Jan選手はいかがでしょうか。
Jan:やっぱり大会が終わって、チームとしても個人としても問題が見つかったので、それをこれからどれだけ修正していけるかが楽しみです。
Allen:チーム全員がモチベーションが高くて諦めるというのをしないので、常に自分が足りていないものとかをみんなで共有しています。
チームのメンバーを決める際に、向上心があるメンバーしか選んでいないのでモチベーションの問題は起きないですね。向上心がなければやっぱりモチベーションに影響が出てくると思います。
──来シーズンもこのままのメンバーで続ける気持ちが強いという話が配信であったかと思いますが、自信のほどはいかがでしょうか。
PirateFlag:スクリムとかだと、今Challengers Japanに出場しているチームに対しても良い結果が得られたり、実際に勝ったりしているので、来シーズンに関してはこれからもっと伸びることを考慮すると、もっと先に進めるんじゃないかなと思っています。
Allen:自分もこれからどんどん伸びると思うので自信はあります。最初の方は負けが続いたりしていましたけど、最近ではスクリムの調子が上がってきて、自分たちのプレイスタイルも固まってきています。
あとは以前は負けていたチームに僅差ではありますけど勝てるようになってきたので、モチベーションも上がって実力が伸びていくことを考えると、良い結果を得られるんじゃないかと思います。
Jan:来シーズンは伸びるとは思いますけど、経験の差とか安定感は心配です。他で生まれる問題もあると思いますし、そこはしっかり意識していきたいですね。
──やはりチームとしてパフォーマンスを安定させるのは難しいですか。
Jan:結構難しいですね(笑)そこはやっぱりみんなの考えを同じにする、意識を同じにすることが大切だと思います。
──それでは最後に、来シーズンや今年あるかわからないですけど次への大会に向けて、意気込みをお願いします。
PirateFlag:今回は負けてしまったんですけど、来シーズンは調子を上げていって勝つと思います。今ファンや運営から応援もしてもらっているので、絶対勝ってやるという気持ちです。
Allen:まだ配信試合に出ていなくて、応援してくれている方もまだあまりわからないと思うので、来シーズンこそ配信試合に出場して、自分たちが海外のスタイルを取り入れた姿をお見せして、ぶっ潰したいと思います!
Jan:小さい目標は配信試合出場で、大きい目標は優勝することです!
おまけ
──ここからは少し余談的なものになります。現在Masters Shanghaiが開催されていますが、どのチームが優勝すると思いますか。
PirateFlag:Paper Rexかな。
Jan:NAのチームが1位で、2位がPacificだと思います。
──チームは関係ない感じですか。
Jan:チームは難しいですね。
Allen:Pacificが一位とるイメージがあまりないですね。なんか2位とかが多い気がする。
Jan:あっでも中国チームいるから、2位が泥沼になりそうな気がする。
Allen:そうだね、今回結構難しいよね。前はここが強いというのは分かっていましたけど…
最近は世界じゃなくて日本でも全部のチームが同じくらいのレベルで、どうなんですかね。観戦しててめちゃめちゃ面白いです!
──100 Thievesの評価が高いイメージですが、それでもやっぱりわからないですか。
Allen:そうですね、個人的にはPaper Rexの優勝を期待していますけど毎回良いところまでいって敗退しているんですよね。Paper RexじゃなくてもそろそろPacificが優勝してほしい…(笑)
Jan:やっぱり僕はGen.Gに優勝してほしいですね。
Allen:日本でいうと今RIDDLEがFENNELにもREJECTにも勝って、本当に優勝してしまうんじゃないかという勢いですけど、それでもやっぱりどこが勝つか予想しづらいですね。
──ありがとうございます。話は変わりますが、Jan選手はFAV gaming時代に配信試合に出場していましたがどうでしたか。
Jan:そうですね、初めての配信試合だったので緊張しましたね(笑)
Allen:そうだよね、配信試合緊張するよね。
Jan:カメラ取り付けて顔も出したりするので。
Allen:でもオフライン行ったら変わるよ。なんでか知らないですけど、ブートキャンプでカメラで配信してやるのはめちゃくちゃ緊張するんですよ。逆にオフラインで前に出たら周りの勢いに押されて、オフラインバフがかかって緊張しないんですよね。
──直接声が伝わる環境というのが良いんですかね。
Allen:そうなんですよ!オンライン上だと観客もその場にいなくて応援されている感じがあまり伝わらなくて。その場に応援してくれる方がいるというのは大きいです。
──競技シーンの規約的にどうかわからないですけど、例えば今取材で使わせていただいているBARReLを利用して、自分たちが前で大会に出場して観客が目の前で見守るみたいな形はできないんですかね。
Allen:どうなんでしょう。オンライン上だと遅延があるんですけど、それを遅延なしで観られるのはどうなんだろうという問題がありますね。多分配信を映すのは大丈夫ですけど、リアルタイムに行われている映像を流すのは厳しいかもしれないです。
それはRiotに問い合わせないといけないですね(笑)でもめっちゃ良い案です。試してみるのもありかもね(笑)
Jan:自分たちがBARReLでプレイして、それをみんなが目の前で見守るってこと?おもしろいかもですね。
──オフラインの話で言うと、以前話題に挙がっていた観客席の問題で、今観客席でどちらのチームを応援するかの席は区切られていなくてごちゃまぜじゃないですか。選手目線分かれた方が良いとかありますか。
Allen:観る側からすれば分かれた方が良いと思いますけど、プレイしている側は分かれないほうが良いかもですね。「あっ…向こうの方が応援している数の方が多い…」みたいなことを考え始めたら良くない(笑)
バラバラで応援してくれた方が助かるかもしれないですね。
Jan:でも、こっちが良いパフォーマンスをして向こう側を静かにさせるのも楽しそうだよね(笑)僕は応援が少なくても後ろにいてくれるだけで大丈夫なので、分かれても良い派ですね。相手が落ち込んでいるのを見たい(笑)
──コーチに関してはCounter Strikeシーンでは、コーチが選手の後ろを歩き回って逐一コーチングしたりグータッチしていますが、VALORANTでは少し離れた席で試合を見守っています。それについてはどのような意見をお持ちですか。
PirateFlag:やっぱり寂しい…(笑)CSシーンみたいにコーチングできれば、僕は感情を表に出す情熱的なコーチなので最高ですけど、今はモニターの前で「Come on guys!(小声)」って言って、ちょっと外から応援している感じになっちゃっていますね。
今回はVALORANT Challengers Japan Split2 Advance Stage1まで進出したBC SWELLのPirateFlagコーチ、Jan選手、Allen選手にインタビューさせていただきました。
お忙しい中ご対応いただき誠にありがとうございました!
PirateFlagコーチ各種リンク
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取材・執筆:eスポーツニュースジャパン編集部/h1ro