『LoL』ストリーマー「よむ」が振り返る配信活動デビュー秘話「人に笑ってもらうのがめちゃくちゃ好きだった」【Streamer図鑑 Vol.3-1】
「eスポーツニュースジャパン」(eスポ)では業界を取り巻くさまざまな時事ネタをはじめ、競技シーンで戦うプロゲーマー・ゲーマータレント・関係者など、eスポーツシーンの立役者を訪ね、取材を通して情報発信に努めています。
そしてこのたび、精力的なゲーム配信でコミュニティを日々盛り上げる「ストリーマー」に注力するべく、eスポは新たにインタビュー企画「Streamer図鑑」を立ち上げる運びとなりました。
第3回目は、PC用ゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)のゲーム配信で話題のストリーマー「よむ」さんを前後編にわたって特集。インタビュー前編では過去のゲーム遍歴をはじめ、活動を始めた経緯、活動の転機となったポイントを中心にお届けします。
小学生の頃からPCゲームの世界へ。日本代表やプロチーム所属も経験
ーー本日はよろしくお願いいたします!まずはよむさんの自己紹介からお願いいたします。
よむさん(以下、敬称略):お世話になっております!Twitchでゲーム配信をしている”よむ”こと中村です。最近では「左半身が古代人」とか「下半身がドクター・ムンド」とか、「心臓からゲップの音がする」とか色んな噂が流れていますけど……普通の社会人です!
ーーその辺りは後ほど詳しくお伺いします(笑)ゲーム配信では『LoL』を中心にプレイされていますが、そもそも最初に遊んだゲーム作品や、『LoL』へ移行した流れをお聞きしたいです。
よむ:これは母親から聞いた話なんですけど、一番最初に遊んだのは「マリオパーティー」だったらしくて。確か3歳の時で、「マリオパーティー」を遊びながら平仮名を全部覚えたらしいです。だから昔からゲームは大好きでしたね。
ーー家庭用ゲーム機からPCゲームの『LoL』を触ったのはいつ頃でしたか?
よむ:僕が小学4年生ぐらいの時に「アメーバピグ」というSNSのようなプラットフォームが流行っていて、そこでPCゲームを触り始めました。でも、アメーバピグに年齢制限がついてログインできなくなっちゃったんです。なので僕も追い出されることになり、「PCゲームで遊んでいたのにどうしよう」……というタイミングで『マインクラフト』を遊び始めました。そこから流れで『LoL』を友達に紹介されて、今までずっと遊び続けています。
ーー相当長く遊ばれていますね。
よむ:あの時が中学2年生だったから……もう『LoL』歴10年ですね(笑)。ありがたいことに日本eスポーツ連合(JeSU)公認の日本代表のMIDレーナー、プロチーム「Rascal Jester」(RJ)のサブ選手として選んでいただいたこともあります。
ーー頼もしい実績ですね。別タイトルを挙げると、『エターナルリターン』でも上位ランクに入ったことがあると伺いました。
よむ:RJに入っていた頃にちょうど『エターナルリターン』(エタリタ)がβテストをやっていて、面白そうだし遊んでみたらめちゃくちゃハマりました。『LoL』のサブ選手なのにずっと『エタリタ』を遊び続け、そこから世界30位ぐらいまで上ることができたんです。
ーーやり込んだ結果だったんですね。時期で言うと何年前でしょうか。
よむ:2021年の1月4日ですね。最初の2~3週間は別タイトルをプレイしていましたが、配信者の「スタンミジャパン」(スタンミ)さんを含め色んな方々が遊んでいるのを見て、自分も『エタリタ』に復帰しました。
そしたらありがたいことに、ゲーム配信をはじめて大体1ヶ月でTwitchパートナーの申請が通りまして。同接(同時視聴者数)も300人ぐらいで安定していたので、ゲーム配信者として活動を続けていくことを決めました。
交流の機会が配信活動のターニングポイントに
ーー配信デビューから1ヶ月でTwitchパートナー達成は驚きの早さだと思います。そもそも「ゲーム配信を始めよう」と考えた経緯を教えてただけますか?
よむ:ありがとうございます!配信を始めた経緯で言うと、それまでに”自分の話を誰かに褒められる機会”が多かったんだと思います。例えば自分が体験した出来事を何となく友達に喋ったら、「その話面白いね」と言ってくれたりしたんです。あとは大きなキッカケとして、やっぱりスタンミさんの存在が大きいです。
ーーこれまでにもスタンミさんとは『LoL』や『RUST』等で共演されていましたね。自身の活動に関係する理由をお聞かせください。
よむ:6年ほど前に、『LoL』のランクマッチで偶然スタンミさんとマッチしたんです。MIDでお互いに対面して、試合が終わった後にスタンミさんから「タロン(MIDのチャンピオン)めっちゃ上手かった!」と言ってもらえて。嬉しくなってスタンミさんを調べたら配信者ということを知り、そこから大ファンになりました(笑)。なので、「スタンミさんみたいになりたい」という憧れがあって配信デビューしました。
ーー一人のファンとして追いかけて、今では配信者として同じ舞台に立っているという現状、何だか感慨深いですね……。
よむ:そうですね。まさかこんなところまでお近づきになれるとは思っていなくて。毎回話す時にめちゃくちゃ緊張します。そういうことは一切出さないように心がけていますけど……心臓はバキバキですね(笑)。
ーー「しゃるる杯」や「CRカップ」への参戦を含め、ゲーム配信を始めてから経験したターニングポイントがあれば教えてください。
よむ:おっしゃる通り、「しゃるる杯」や「CRカップ」等を通して色んな活動者さんと関わることができたのが一番大きいです。3年間の配信活動でフォロワーが8000人~9000人前後だったんですけど、両イベントに参加させていただき、今は1.8万人(3月18日時点)まで増えました。
それまで3年間の活動を頑張ってきたというのもありますが、色んな活動者さんと交流する機会をいただき、そのうえでたくさんの方々に認知していただいたという点がターニングポイントだったと思います。
配信活動の強みとなった「エピソードトーク」
ーーリアルタイムで大会の様子を拝見していましたが、3年間の活動を経て掴んだ機会を、よむさんが確実にモノにしたように見受けられました。また先ほど触れていた通り、印象深いエピソードを語ると同時に、切り抜き動画やSNSの投稿を通してよむさんの人柄がコミュニティに浸透しているように思います。
よむ:僕、人に笑ってもらうのがめちゃくちゃ好きなんです。だから面白いことがあったら覚えておいて、昔から機会があればクラスメイトによく喋っていました。そこでもしウケたら記憶にもっと残りますし、配信でも喋ったら同じように笑ってもらえて……という具合に、ずっと嬉しい連鎖が続いている感じです。
ーー面白い体験をトークに落とし込んで笑いを誘う技術があってこそのものですね。ところで改めて気になったのですが、「お清めの塩」ってどんな話ですか?ど忘れしてしまって……。
よむ:最初の方で「JeSU公認の日本代表プレイヤーに選ばれた」というお話をしたじゃないですか。ちょうどあの時期、僕、完全に調子にのっていまして。19歳か20歳の頃だったと思いますが、その時、コンビニの前で警察官の方から職務質問を受けたんです。
ーードキッとするシチュエーションですね。普通は焦りそうですが。
よむ:いや、逆に「初めて職務質問された!」とテンションが上がって。ウキウキで色々答えました。
「名前は?」「中村です」
「職業は?」「日本代表です」
……ハッキリと「学生です」って言い切ることができなかったんですよね。
ーー日本代表??
よむ:当時僕は大学をサボっていて、出席日数が足りずに進級できるかどうかかなり怪しい状況でした。
ほぼほぼ大学を辞めそうな雰囲気だったので学生とも言えない。だけどニートって言うのも嫌だなと思って。だから咄嗟に「日本代表です」と答えたんですよ。
そしたら警察官の方が「何言ってんだコイツ」みたいな視線で僕を怪しんできたんです。「中村君、身分証明書とか見せてもらえる?」って言われて。「何もやってないのに……」と思いながら財布をバッと取り出しました。
身分証明書を出さないと。そう思っていたのに、財布から出てきたのは”魔除けの塩”だったんです。
ーー魔除けの塩???
よむ:その年、占い師さんから「厄年」だと言われていたんです。だから財布の中に魔除けの塩を入れておいたんですけど……。案の定、警察官の方が何かと勘違いして声を荒げたんです。
「中村君、これ何だよ!」「魔除けの塩です」
……本当にパニックになりました。魔除けの塩と言っても全然取り合ってくれなくて。しかもめちゃくちゃ暴れまわると勘違いされたからか、警察官の方々が無線で応援を呼ぼうとしてたんです。
ーー完全に連行されるパターンじゃないですか。
よむ:一人は応援を呼んでるし、もう一人は懐中電灯で塩をジロジロ見てるんですよ。もう、本当に意味が分からなくて。「これ本当に塩です!魔除けの塩なんです!」って僕が言ったら、その警察官の方が懐中電灯で塩をガーッと照らしながら喋ったんです。
「俺、”本物”見たことあるけど、これは塩やな」
「だから最初っから魔除けの塩って言ってるやんけ!!」という話ですね(笑)。
ーー心の叫びが聞こえてきました(笑)改めて実感しましたが、やはり内容の詰まったエピソードトークですね。
よむ:この出来事があった1年後ぐらいに配信者デビューをして、最初からフルスロットルで色んなエピソードトークを喋っていたんです。それもあって1ヶ月で300人もの人が集まってくれたのかなと思っています。
ーー個人的には「魔除けの塩」と並ぶ勢いで、「古代人」と呼ばれるようになった理由も気になります……!
よむ:元々呼ばれていたわけじゃないですけどね(笑)。
僕、高校生の時になぜか分かりませんけど、胸が張ってたんですよ。お風呂上がりに身体を見たら「なんか胸張ってるな」と思って。とりあえず絞ってみるかと思い、左胸をギュッと絞ったんです。
そしたら出たんです。左乳首から母乳が。
ーーそんなこと有り得るんですか??
よむ:よく分かんないですけど、出たんですよ。その時、ちょうどテレビで「パンダが想像妊娠した」というニュースを見てまして。それもあってか、「俺、間違えて妊娠した?」と思ったんです。
「妊娠したら母乳が出る」みたいなイメージもあって病院に急ぎました。そこでお医者さんに言ったんです。「左乳首から母乳が出るんですけど、僕は妊娠してしまったんでしょうか」って。そしたら、お医者さんがゆっくり教えてくれたんです。
「数千年前の人類は男性も乳が出たんだよ」
その瞬間、僕の左半身は数千年前から進化していない”古代人”だということが判明しました。
ーーまさか過ぎる展開ですよね(笑)ある意味でこのトークもよむさんが認知される要因になったのかもしれませんね。
よむ:この話が色々と広まって、なぜか古代人として一定の評価を得たという感じですね。会社でも「よむさんって古代人なんですね」って言われるので困ってます(笑)。「Twitchの新人ストリーマーで面白いやつがいる!」みたいなバズり方だったら想像しやすかったんですけど、まさかこんな日が来るとは思っていなかったです。
でも、僕の影響力というよりかはやっぱり「k4sen」さんや「葛葉」さんをはじめ、イベント等で交流していただいた方々のおかげだと思っていて。名だたる活動者さんがいてくれたからこそ拡散されたのだと思いますし、皆さまの影響力の大きさを常日頃から感じています。
※ ※ ※
インタビュー前編はここまで。後編では「CRカップ」で獲得した賞金の使い道や今後の展望など、配信活動にまつわる裏話をさらに掘り下げます。
取材&執筆:eスポーツニュースジャパン編集部/龍田
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