”背水の逆転劇”から20年。23歳のウメハラ選手が魅せた16連ブロッキングの妙技を振り返る【おすすめ動画】
日々さまざまな情報を取り扱うeスポーツニュースジャパン(eスポ)ですが、我々が目を向けているのは大会の結果やプロチームの動向だけではありません。
本コーナーでは、筆者がeスポ読者の方々へおすすめしたいゲーム作品、動画、トピックなどをご紹介します。
The esports Moment that Changed Fighting Games Forever
今回ご紹介するのは、IGN Gamesが投稿した「The esports Moment that Changed Fighting Games Forever」です(公開日:2021年3月9日)
本動画は、対戦格闘ゲーム(格ゲー)コミュニティで最も有名であろう、”梅原大吾 vs ジャスティン・ウォン”戦の逆転劇に焦点が当てられています。
今から約20年前に開催された格ゲーの祭典「EVO 2004」。その決勝ラウンドにて相まみえたのが、今なお競技シーンの最前線で活躍するプロゲーマー”梅原大吾”さんと、同じく競技シーンで20年以上のキャリアを誇るアメリカ出身のプレイヤー”ジャスティン・ウォン”さんです。
同大会で採用されたタイトルは、『ストリートファイターIII』に様々な新要素を加えた『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』。なお、大会の舞台となったのはアメリカ・カリフォルニア州にある大学で、現在とは規模感が全く異なる点も興味深いポイントです。
改めてウメハラ vs ジャスティン戦のハイライトを掘り下げてみましょう。決勝の舞台で王手をかけたのは春麗を操るジャスティン選手。残り体力あと僅かというところまで追い詰められたウメハラ選手へトドメを刺すべく、スーパーアーツ(必殺技)「鳳翼扇」を発動。回避 or 防御という2択を仕掛けます。
防御をしても連撃による削りで体力が無くなってしまい、仮にかわしたとしても次の攻撃に備える必要がある。どちらにしても絶望的な状況に変わりない中、ウメハラ選手が選んだのは、ハイリスクハイリターンな「ブロッキング」でした。
ブロッキングとは、相手の攻撃が自キャラへヒットする直前に繰り出す防御手段です。通常のガードとは異なり、成功させると相手の攻撃を完全に捌くことが可能。しかしタイミングがシビアなため、ガード以上に高度な操作テクニックが求められます。
そしてウメハラ選手はこのブロッキングを一度だけでなく、ジャスティン選手の春麗が繰り出す”16回”もの連撃に合わせて成功させます。小気味よい音と共に春麗の鳳翼扇を防ぎきるケン(ウメハラ選手のキャラクター)。そんなウメハラ選手の姿を見て、会場からは割れんばかりの歓声が轟きます。結果、反撃に転じたケンのスーパーアーツ「疾風迅雷脚」が春麗にヒット。ウメハラ選手は体力残り1mmという劣勢を覆し、見事に試合に勝利しました。
一発でもダメージを受けると敗北という苦境のなか、あえて”攻めの姿勢”でブロッキングに挑戦したウメハラ選手。本動画の中盤では、ウメハラ選手の対戦相手だったジャスティン選手が出演。当時の試合を振り返り、「単純なハイライトという意味だけでなく、あの戦いは対戦格闘ゲームのコミュニティを盛り上げる要因になった」とコメントしています。
eスポーツイベントで行われた一試合という枠を越え、「最も視聴されたビデオゲームの試合」として2016年にギネス記録にも登録された”逆転の背水劇”。未視聴の方は、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
執筆:eスポーツニュースジャパン編集部