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「MMORPGは人生の教科書」声優・田中音緒が真摯に語るゲーム愛とは?人生を変えた『リネレボ』との出会い。ギルドマスター就任。そして伝説へ


FPS(ファーストパーソンシューター)をはじめ、eスポーツにまつわる様々な情報を取り扱う専門メディア「eスポーツニュースジャパン」(eスポ)。当メディアでは、プロゲーマー・ストリーマー・eスポーツキャスター・タレント……等々、各分野で活躍されている方を対象にインタビュー企画を実施しています。

今回お話を伺ったのは、スマートフォン向けアプリ『ゴシックは魔法乙女〜さっさと契約しなさい!〜』・イサミ&ルーチェ、地域活性クロスメディアプロジェクト『温泉むすめ』・日田絢芽……など、さまざまなキャラクターに命を吹き込む声優の田中音緒さんです。

田中さんは株式会社オブジェクト主催によるeスポーツ応援プロジェクト「声優e-Sports部」の副部長を努めつつ、バーチャルアバター「CV.ねおちゃん」としてYoutubeでも精力的に活動中。声優業と合わせて活躍の場を多方面に展開されています。

今回のインタビュー企画は全2回に分けて掲載。前編では田中さんのゲーム遍歴をはじめ、人生を変えたMMORPG作品、そしてゲームから学んだ人生の教訓についてお届けします。

▶インタビュー後編「CV.ねおちゃん」でファンに感謝。「声優e-Sports部」で熱くなれる大会を開催。田中音緒が秘める無尽蔵なチャレンジ精神

ゲームと一緒に育った幼少期。大好きな「ポケモン」を2本ずつ揃えた思い出

ーー本日はよろしくお願いします!まずは田中さんのゲーム遍歴についてお聞きしたいのですが、最初に遊んだ作品って覚えていますか?

田中音緒さん(以下、田中):よろしくお願いします!最初に遊んだゲームは「ポケットモンスター」(ポケモン)で、物心ついた時にはもうゲームボーイとカセットを握ってました。

ーー随分早いゲームデビューですね。覚えている範囲で何か具体的なきっかけはありましたか?

田中:それが、ゲーム好きになった具体的なきっかけは無くて、おそらく家族から与えられて生きてきたんだと思います。それも誕生日プレゼントとか関係なく、発売されたら自然と遊んでました。「ポケモン」も『赤・緑』から、お母さんとお姉ちゃんと私でずっとやってましたね。

ーー当時は家族で「ポケモン」の交換だったり対戦プレイを楽しんでいたイメージでしょうか。

田中:そうですね。ただ別に家族で戦うとかはしなくて、ひたすら黙々と進めてましたね。とは言いつつ「私は水ポケモンでお母さんは炎タイプ」とか、「ここまでポケモン育てたよ」みたいな話はしてた気がします。「ポケモン」は本当に思い出深くて、『ダイヤモンド・パール』みたいなバージョン違いの作品も1人2つずつ持ってました(笑)。そうやって遊ぶのが普通だと思ってたんです。

ーー「ポケモン」の両バージョンをそれぞれ2本ずつ揃えているのは驚きですね(笑)。今の話を踏まえると、やはり当時から複数人で遊ぶのがメインだったのでしょうか。

田中:年末年始にお婆ちゃんの家に集まる行事があるんですけど、当時はみんなで「大乱闘スマッシュブラザーズ」で遊んでました。親戚のお兄ちゃんがめちゃくちゃ強くて、私が負けず嫌いだから勝てなくて不機嫌になり、最終的にみんなが私の機嫌を取ってくれるっていう流れが年末年始に毎回あって(笑)。幼少期からずっと誰かとゲームで遊んでたし、それでコミュニケーションをとることが普通でしたね。骨身に染みてるんだと思います。

ーーある意味で英才教育だったんですね。では好きなゲームジャンルも「ポケモン」のような育成メインのRPGでしょうか。

田中:これが少し違うと言いますか、私はRPGよりも誰かと戦ったり競い合うゲームの方が好きなんですよね。1人でゲームをするにしても、進み具合を自慢する相手や同時進行で一緒に頑張ってくれる仲間が欲しいです。

MMORPGで全サーバー1位を達成。ギルドマスターを経て人間を知る

ーーゲームで競い合ったり協力することに心惹かれると伺いました。それらを含めて、ターニングポイントになったゲーム作品があれば教えてください。

田中:ゲームそのものとの出会いは「ポケモン」で、”全くの他人とゲームで遊ぶ”きっかけになったのは『リネージュ2 レボリューション』(リネレボ)ですね。昔は知らない人と密にコミュニケーションを取りながらゲームをすることって無かったんですけど、『リネレボ』で色んなことを経験しました。Discordでグループ通話も繋げたし、オフ会に参加したのも『リネレボ』が初めてです。

【リネージュ2レボリューション】 シネマティックトレーラームービーFull version

ーー確かに、『リネレボ』のような※MMORPGには協力も競合もおおむね詰まっていますね。

田中:そうですね。MMORPGって何かしらのランキングがリアルタイムで反映されるじゃないですか。だから「1位になりたいな」ってずっと遊び続けて、いつの間にかトップギルドと呼ばれる場所に入ってました。『リネレボ』以外もMMORPGにハマって、『黒い砂漠モバイル』では本格的にギルドマスターも努めてました。

※インターネットを介して遊ぶ”大規模多人数同時参加型オンラインゲーム”のこと

ーーギルドマスターですか?MMORPGのトップ層で務めるのはかなりの重役ですが……詳細が気になります!

田中:でも最初は成り行きだったと思います。「いったん仮でギルドを作るけど、誰かギルマスやる?」ってなった時、私が声をかけてみんなを集めた手前、「正式にギルマスが決まるまで私がやる」って言ったんです。それからサーバー内の強い人を勧誘するうち、私がきっかけでギルドメンバーを引っ張ってくることが多くなり、ギルマスを辞めるに辞められなくなりました(笑)。

ーー仮のギルマスだったつもりが正式な団長になったと。どうやって優れたプレイヤーを勧誘していたのかも知りたいです。

田中:色々と工夫してた気がしますね。例えばすでに他のギルドへ参加しているプレイヤーに「うちのギルドに来てよ」と言っても駄目なので、「うちのギルドは〇〇な雰囲気で楽しくて、いつでも入れるよ」みたいに伝えてました。交流の機会を見つけつつ、「うちのギルメン(ギルドメンバー)と遊ぶこと多くなったよね?居心地も良い感じだよ」みたいに外堀を固めてから誘ってました。

ーーいきなり引き抜くのではなく、しっかりと段階を踏むのが大事なんですね。勉強になります。

田中:ギルマスという責務を負う以上、誰よりも頑張りたい・誰よりもゲームについて詳しくなりたいと思って気を配っていました。それに、「どこよりも絶対に私たちのところが楽しい」と胸を張って言えるようなギルドにしたかったんです。その目標をギルメンのみんなも分かってくれたから嬉しかったし、結果的に脱退者が少なくて居心地の良いギルドになったんだと思います。

▲思い出のMMORPGを起動する田中さん

ーーギルドマスターを努めた『黒い砂漠』は大体どのくらいプレイされていましたか?

田中:大体2年ぐらいでしたね。全体サーバーのトップギルドを倒して、目標だったランキング1位を達成してから解散しました。諸説あると思いますけど、私は「なんかあのギルド弱くなったね」と言われてから辞めたくなかったし、「1位に上り詰めた」という伝説のままで終わらせたかったんです。私にとって初めてのMMORPGだった『リネレボ』、そして『黒い砂漠モバイル』のあとに遊んだ『二ノ国:Cross Worlds』(ニノクロ)も含め、どれも頂点に立ってから引退することができました。

ーーそのまま漫画に出来そうなぐらい格好良いエピソードだと思います。ここで気になるのはスケジュール面ですが、複数タイトルを並行して遊ぶのは難しいように見受けられました。

田中:そうなんです。並行して同時に遊ぶのは無理だったので、当時は一つの作品を遊ぶと決めたら端末(スマホ・タブレット等)をフル稼働させて、メンテ時以外はログインせずにプレイしてたんです。日常生活だったり仕事との両立もありましたけど、ありがたいことに周囲の方々の理解を得ることができました。

ーーきっと田中さんの真剣な姿勢が周囲に伝わったんだと思います。ちょうど3作品の話が出ましたが、それぞれでどんなことを学んだのでしょうか。

田中:ゲームプレイのテクニックって、大きく分けてミクロ(反射神経や経験)とマクロ(大局的な判断力)があると思っていて。ミクロを学んだのが『リネレボ』。ミクロとマクロが少しずつ分かってきたのが『黒い砂漠モバイル』。マクロをたくさん学べたのが『ニノクロ』みたいな印象です。『ニノクロ』は指揮官と呼ばれる人が各ギルドにいて、その人たちと協力プレイ時の戦い方をずっと研究してました。

ーーマクロの話になると処理すべき情報が多くなると思いますが、どのような点を意識していたのでしょうか。

田中:『ニノクロ』は最大50人までパーティーを組めるんですけど、DPS(最大火力を発揮する役割)や回復ジョブがスキルを撃つタイミングを把握したり、全体の動きを俯瞰して見る動きが学べました。このクセがついたおかげでゲーム全般に対する理解が深まったと思います。

これも仮に自分たちが最初から圧倒的に強いとできないと言うか。やっぱりお互いに競い合えるプレイヤーとギルドが必要だし、だからこそギルド間でちょうどよくバランスを保とうとしたり、ある程度の協定ができていました。

▲「MMORPGで人生が変わった」と語った田中さん

ーーおっしゃる通りで、競合に勝とうとするからこそ自分や仲間が強くなれるんですよね。

田中:そうだと思います。ギルド戦もルールがシビアで、プレイシーンを録画して相手に提出したり、終了後に自分の何が駄目で何が良かったか、フィードバックをもらいながら修正していくわけじゃないですか。あれをもう1回経験したいとは思わないけど、めっちゃ楽しかったし青春でした。あそこまで全力でやったからこそ、トップに立ったあとに悔いなく辞められたんだと思いますね。

対人関係の肝は”寛容さ”にあり。ゲームから学んだ人生の教訓

ーーギルドマスターを努めた経験は日常生活だと中々得られないものだと思います。率直な意見として、ゲームから学んだ教訓があればお聞きしたいです。

田中:ありがたいことに、ゲーム関連のお仕事をいただく機会がかなり増えました。それこそ「二ノ国」さんの案件でお声をかけていただいたり、NEXONさんのMMORPG『V4』でアシスタントをお引き受けしたり……。本気でMMORPGに打ち込んでいた過去があって、プレイヤー目線でゲームが好きだという気持ちを発信できたからこそ、お仕事に繋がったのかなって思います。

それと、MMORPGからは「世の中には色々な人がいる」ということを学びました。リアルな社会だと私たちは名前や肩書を背負っていますけど、オンラインゲームはそういうものが関係ないと言うか、人間の良い部分と悪い部分がダイレクトに見えるじゃないですか。たくさんのプレイヤーと出会うなかで「この人は〇〇であの人は〇〇で〜」って考えたらキリが無いと思います。それから「色んな人がいて色んな考えがあるんだ」ということに気づき、すごく寛容になりました。

ーーMMORPGで対人関係の本質を見たと言うか、ある種の悟りを開いたわけですね。

田中:人それぞれ生まれ育った環境や考え方も違う。だから人に対して過剰に怒ったり悲しむことはほとんど無くなりましたね。逆に私の考えと合わない人も絶対にいますし、MMORPGは程よい人間関係を学ぶ良い機会だったと思います。未体験の人はぜひ遊んでもらいたいし、人生の勉強になると思うんですよね。

英才教育と呼ぶにふさわしいゲーム遍歴や、人生を変えたMMORPGの話題を中心にお届けしたインタビュー前編。後編では「CV.ねおちゃん」と「声優e-Sports部」の活動についてフォーカスし、田中さんの人柄をさらに掘り下げます。

取材:eスポーツニュースジャパン編集部/龍田

田中音緒(SNS/配信)

eスポーツ応援プロジェクト「声優e-Sports部」

声優事務所クロコダイル

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