「影響力があり強い選手を抱えていることを再認識できた」日本eスポーツアワード受賞者インタビュー
1月25日に東京国際フォーラムにて開催された「日本eスポーツアワード」で、アワードを受賞された皆さんにインタビューを実施しました。
ご都合の関係で、全員の受賞者にインタビューすることはできませんでしたが、囲み取材の様子を是非ご覧ください。
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ZETAから多くの受賞者「影響力、実力ともに強い選手を抱えていることを再認識」
──西原さんにお伺いいたします。本日最優秀eスポーツチーム賞、そしてZETA DIVISIONからあcola選手やLaz選手、そしてk4senさんがそれぞれアワードを受賞しましたが、ご自身が代表するチームから受賞者が多数出るということについて、どのように思われているのでしょうか。
西原 大輔さん(以下、西原):こんなに受賞できるとは思っていませんでしたが、今の日本において影響力がある強い選手をたくさん抱えられているということを、改めて実感した一日だったなと思います。
──栄えある賞の受賞ですが、それまで決して順風満帆ではなかったと思います。これまでの運営で最も苦労されたところであったり、ここが正念場だったんだというところがあればお伺いしたいです。また、それをどう乗り越えたのか教えてください。
西原:この1月で我々チーム運営を始めてちょうど6年になったんですね。まずJUPITERのころの1,2年目はお金がなかったというのは一つあるんですけど、例えば選手を獲得するのに同じ経済条件だったりとか、同じ条件でオファーをだしても、やっぱり我々は選ばれない、選んでくれないということがすごくたくさんあって、このチームを作れれば僕たちもあのチームと同じロースターになってたし、そうなった場合勝ててたのにということがたくさんありました。
それは苦い経験で、これをどうにか打破しなきゃなという部分で、やっぱり選手はその時のイケてるチームというか、Tierが高いチームみたいなものを選手たちの中でも何となく肌で感じているので、その中にまず我々が入る必要があるなと考えました。
そこで、やっぱり選手たちからJUPITERの運営はしっかりしているよねとか、そういった信頼をどう得ていくかというところは裏テーマじゃないですけど、コミュニティファーストではありながら選手の心を掴んでいくというところを、3年目のあたりから凄く意識するようになりました。
──選手お二人にお伺いします。こういう大きな舞台に立てたということで、将来ここに立ちたいというより若い世代の方々がいると思うのですが、ゲームが上達するうえで注意しなければならないことや、やるべきことを教えてください。宮園選手は実車でのレースも経験されたということで、ゲームと実車との違いにも触れていただけますと幸いです。
宮園 拓真選手(以下、宮園):僕はやっぱりグランツーリスモが子供の頃から好きで、4歳の頃からプレイしていたんですけれども、グランツーリスモの練習で伸びる部分と、それだけでは伸びないところがあって、それは日々の学校生活で得られたり、集中力で言うと僕は高校まで陸上短距離をやっていたので、その時に短期間の集中力というのを身に着けました。なのでグランツーリスモをやるのも大事だし、それ以外の部分も大事にして両方しっかりやることが上達するうえで重要だと思います。
そして実車との違いというところで言うと、ゲームだと目から得られる情報と、耳から得られる情報と、ハンドルのコントローラーを使っているのでそこから伝わる振動の情報、この3つの情報で普段判断しているんですけれども、実車になった時にはそこに重力が加わってくるので、そういう情報であったり、あとはタイヤからハンドルにインフォメーションが伝わってきたりという違いはあったりしたので、最初はその違いに慣れなかったですね。
あcola選手(以下、あcola):スマブラがうまくなるというのは難しくて、僕だったらスティーブといった形で一つのキャラクターを極めたいとか、スマブラ全体の理解を深めたいのかとかが難しいんですが、根本的な話だと数を積んで上手くなるというのがすごい大事で、実戦を何度も経験してどんどん自分のやりたいことを身につけて、それができるようになるまで練習するといった形です。それを積み重ねていくことが一番ですが、ただ闇雲にやっていても上手くならないので、そこがやっぱり難しいです。
スティーブをやるならテクニックを覚えたりだとか、コンボを覚えたりだとか、パーセントをためて相手を撃墜するスマブラにおいて、コンボを覚えるとパーセントをためやすくなって試合を有利に進めることができるので、自分がまず何を狙いたいかとか、こういう場面ではここを狙えば逆転できて良い展開になるだとか、そういった形でスマブラの理解も深くなるので、まずはコンボを練習して、実戦で使えるように数をこなして覚えていくことが、上達のコツなんじゃないかと思います。
──人と戦ってということですね。
あcola:そうですね、人と戦って相手のクセとかキャラクターの対策とかの理解が進んでいくので、何にしても実戦形式で戦っていくのが一番練習になるんじゃないかなと思います。
選手の望み「公式大会を定期的に開いてほしい」
──選手として継続的に各々のゲームタイトルで戦うのにあたって、パプリッシャーであったり大会の運営側に対して望んでいることはありますか。
あcola:1月中旬に任天堂の公式大会がある予定だったのですが、任天堂さんが脅迫行為を受けたことから会場が安全ではないと判断し、大会中止になってしまいました。ただ、こういった形で公式大会を開いてくれることで、個人が開かずとも公式が盛り上げてくれるので、定期的に開催していただきたいなと思っています。
宮園:僕は今グランツーリスモをしていて、前に公式の方で世界大会に行かせていただいたように、大きな大会は定期的に開かれています。
一方で、要望としては大きな大会がある分、お客さんと身近な距離で行われる大会が少ないのかなという印象があるので、もう少し規模は小さくて良いのでお客さんと一緒にできるような大会があれば、大会を見るだけではなくてやる楽しみを提供できるのではないかなと思います。
西原:僕の立場からだと、選手はそのタイトルだけなんですけど、我々はどのタイトルを選定するかというのは非常に重要だと考えています。
もちろん人気のゲームの部門を設立するのもそうなんですけど、例えばもし日本で人気がなかったとしても、海外で人気のあるタイトルというのはやはり興味を持ってチェックしているというのがあって、パブリッシャーの方々と普段から密にやり取りさせていただいています。
チームの役割はパブリッシャーさんとファンとの架け橋となるというか、いわゆる蜜を集めるミツバチのようなイメージで僕は考えているんですけど、その中でその蜜をどうやったら集められるのかとか、影響力をもってパブリッシャーさんと一緒に歩んでいけるかといった部分の目線で、色々コミュニケーションは取らせてもらっています。
法律はどうにかなるのか「法律家とeスポーツに関わる団体が協力すれば」
──松本さんにお伺いします。法律の側面から支えていたということだったんですけれども、法律というのは何とかなるものなのでしょうか。
松本 祐輝さん(以下、松本):法律に対するアプローチというか、私が最初に課題として感じていたのは賞金大会の賞金が10万円までというところでした。
色々な課題があったんですけれども、まず一つは社会的な認知として10万円以上の高額賞金大会ができるのかできないのかというところをしっかりと認知しておく必要があるというので、例えばまず僕が執筆したりとか、もちろん法律家が書く文章というのは普段読まれる方が少ないですが、それをeスポーツに近いライターさんだったりとかにお話をしたり、普通の新聞さんとか、そういった法律家の文章を読まないような方々のために、メディアを通して発信していくことで、こういうことができるんじゃないかと考えつきました。
あとは、実際に経済産業省さんとか日本eスポーツ連合さんとか、そういったある程度政治の領域に力を持った団体さんと一緒にやって、そこにコミュニティというかゲームを仕事にしていきたいという方々の想いをちゃんと届けるというのをしっかりと載せて文章でやり取りをしていたというのが、現在に繋がっていると思います。
今年力をいれていきたいこと「活動の継続」
──直近で力を入れていきたいことや、今年力をいれていきたいことがあれば教えてください。
Yossyさん(以下、Yossy):受賞の際にも言わせていただいたんですが、やっぱり21年やっているeスポーツのサイトってほとんど日本だとないので、そういう記録みたいなものに挑戦したいなというので、どんどん取材に行ってサイトを長く続けたい、活動を続けたいと思っています。
宮園:まだまだeスポーツというジャンルの中で、eモータースポーツはかなりニッチなところという認識であるので、少しでもeスポーツを見られている方の中で、eモータースポーツを見てもらえるようにという想いはありますし、正直去年は僕自身活躍できていないながらも、こうやって選ばれているので、その意味を考えながら少しでも貢献できるように活動したいと考えております。
あcola:もちろんこれからZETA DIVISIONの一員として今年もスマブラを頑張っていくんですけど、今年僕は高校3年生になって来年受験になるので、今年は勉強も頑張りたいなと思っています。
西原:月並みなことになっちゃうのでパスで(笑)
松本:そう振られるとあれなんですけど(笑)法律家のできる仕事って限られているんですが、僕が今後できそうなのは制度面で、ないところに制度を作ったりだとか、今ある制度で使いづらい制度を変えたりだとか、そういう仕事は僕は得意だと思っているので、そういったところを僕はJeSUさんとかチームさんと協力出来たらと思っています。
西原 大輔さん 各種リンク(最優秀eスポ―ツチーム賞)
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あcola選手 各種リンク(Under18最優秀eスポーツプレイヤー賞・最優秀格闘ゲームプレイヤー賞・年間最優秀eスポーツプレイヤー賞)
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・YouTube
宮園 拓真選手 各種リンク(最優秀eモータースポーツゲームプレイヤー賞)
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Yossyさん 各種リンク(eスポーツ功労賞)
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・X(Negitaku.org esports)
・Web
「日本eスポーツアワード」のアーカイブは以下のリンクからご覧ください。
アイキャッチ画像:日本eスポーツアワード
取材:eスポーツニュースジャパン編集部