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【コラム】正式競技化からわずか2大会で”退場”――アジア大会のeスポーツはなぜ名古屋で終わるのか


愛知・名古屋で開催中の第20回アジア競技大会で、eスポーツ競技が佳境を迎えています。『ストリートファイター6』や『ぷよぷよeスポーツ』、『ポケモンユナイト』など、11種目13タイトルという過去最大の規模で実施されている今大会ですが、これがアジア大会で行われる最後のeスポーツ競技になる見込みです。

アジアオリンピック評議会(OCA)は、名古屋大会を最後にeスポーツをアジア大会の実施競技から外し、専用の総合大会「Asian Esports and Mind Sports Games」を新設します。9月19日には名古屋でクウェートと開催都市契約を結び、第1回を2027年に同国で開催することが決まりました。海外メディアによると、参加選手は約4,000人規模で、チェスなどのマインドスポーツと併催される予定です(実施タイトルや日程は未発表)。

正式競技化からわずか2大会での「独立」

この方針は突然のものではありません。OCAは2024年11月の理事会で、名古屋大会後のeスポーツ除外と別大会の創設を全会一致で承認していました。今回の開催地決定で、構想が具体化した形です。

アジア大会のeスポーツは、2018年のジャカルタ・パレンバン大会で公開競技として初登場し、2023年の杭州大会で正式メダル競技となりました。杭州では囲碁やチェス、ブリッジなどと同じ「マインドスポーツ」の枠組みで実施されています。一方、名古屋大会ではそのマインドスポーツがすべて姿を消しました。新大会は、杭州で同居した両者をアジア大会の外で束ね直す試みとも読めます。

「格下げ」か「独立」か

もっとも、これを単純な格下げと見るのは早計でしょう。2029年の第2回についてはフィリピンとの協議が進んでおり、隔年開催が軌道に乗れば、アジアの選手が国を背負って戦う機会はむしろ増えるからです。

ただし課題もあります。たとえば韓国では、兵役特例の対象が五輪3位以内かアジア大会の優勝に限られており、新大会は含まれていません。法改正がなければ、名古屋が兵役対象の選手にとって最後のチャンスになると報じられています。各国のオリンピック委員会が新大会のメダルをアジア大会並みに扱うのか。それが価値を左右する試金石になりそうです。

国別対抗の舞台は中東へ

視野を広げると、国別対抗eスポーツの枠組み自体が再編の最中にあります。国際オリンピック委員会(IOC)は2025年10月、「オリンピックeスポーツゲームズ」をめぐるサウジアラビアとの12年契約を解消しました。そのサウジでは、Esports Foundationが国別対抗戦「Esports Nations Cup(ENC)」の第1回を2026年11月から2027年11月へ延期しています。理由は地域情勢の不透明さで、同様の事情から今年の「Esports World Cup」も開催地をリヤドからパリへ移しました。

つまり2027年は、OCAの新大会とENCがともに湾岸地域で開かれる見通しです。主導権争いの行方が問われると同時に、中東情勢という開催リスクも抱えることになります。

国内でも進む「切り出し」

同じ流れは日本国内にもあります。日本スポーツ協会は9月3日、国民スポーツ大会の文化プログラムとして行ってきた都道府県対抗のeスポーツ大会を国スポから独立させ、2028年1〜3月ごろに第1回を開く新大会を創設すると発表しました。

総合スポーツ大会の一角から、専用の舞台へ。eスポーツとスポーツの距離感は、新たな段階に入りつつあります。日本メーカーのタイトルが数多く並んだ名古屋大会は、アジア大会における「最後の晴れ舞台」となるのか。新大会のタイトル選定にも注目が集まりそうです。

執筆:eスポーツニュースジャパン

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