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【コラム】「eスポーツ×採用」は国内チームの第3の収益柱になるか?SCARZ・FENNELの動きから考える


10月下旬から11月初めにかけて、国内のプロeスポーツチームから「採用」や「社内交流」をテーマにした発表が続きました。

10月28日、SCARZを運営するXENOZは、J.フロントリテイリンググループの総合空間事業会社、J.フロントプライムスペースとのパートナー契約を発表し、「eスポーツ×採用活動」を軸に若い世代へ向けた施策を進めるとしました。

続いて、SCARZが西松建設の社内ゲームイベント「N JOY CUP」を支援した事例や、FENNELがゲーム好きの学生向けに開いた合同企業説明会「GCEXPO in NAGOYA」の開催報告も公表されています。3つのニュースに共通するのは、eスポーツチームが企業の人事課題を新たな収益源にしようとしている点です。

チームの収入はスポンサーと競技成績に左右されやすい

eスポーツチームの主な収入源は、企業からのスポンサー料と、大会賞金やグッズ販売など競技やファンに根ざした収益です。日本eスポーツ協会(JESU)の「日本eスポーツ白書2025」によると、2024年の国内eスポーツ市場は約161億円で、そのうちスポンサー費用が36.3%を占めました。

スポンサー料は企業の広告予算に、賞金は成績に左右されるため、どちらも安定しにくいのが実情です。10月26日には、フィンランドの老舗チームENCEが、現地報道で多額の赤字が伝えられるなか破産申請を決めたと発表しました。収入源を増やすことは、国内外のチームに共通する課題と言えます。

3つの発表は「企業の困りごと」に応えるもの

西松建設は、高速道路やダムなどの現場が全国に分かれ、部署や拠点を越えて社員が交流する機会が限られていました。SCARZは位置当てゲーム『GeoGuessr』で同社の施工物件を出題する企画を提案し、オンラインと会場を合わせて延べ約600名が参加しました。

社長らが手がけた現場の思い出を語り、若手が耳を傾ける場になったといいます。西松建設は将来的なデジタル人材の採用も視野に入れているとのことです。SCARZはこの経験を生かし、10月から企業向けの「ゲームイベントプラン」の販売を始めました。

なお、XENOZは2022年からJ.フロントリテイリンググループの一員で、J.フロントプライムスペースはグループ会社にあたります。まずはグループ内で実績を積む段階とも言えます。

FENNELのGCEXPOは、10月4日に名古屋市のなごのキャンパスで、中部テレコミュニケーションと愛知eスポーツ連合との共催で開かれました。東海エリアを中心とする企業15社と学生118名が参加し、主催者発表では学生のブース着座率が37.9%に達しました。今年1月の札幌、7月の岡山に続く3回目の開催です。FENNELは、応援するチームの主催だからこそ、学生が前向きに企業の話を聞いていたとしています。

先行するFENNEL、海外ではG2もBtoB事業を展開

この分野ではFENNELが先行しています。2023年にはスポンサー企業2社の新卒採用で、ゲームのプレイ内容を評価するグループワークを導入しました。2025年5月には、同社の取り組みを通じて121名の新卒入社につながったと発表しています。チームを持つ企業側でも、Web制作会社のキノトロープが2024年の講演で、チーム運営を始めてから新卒エントリーが約4倍になったと明かしました。海外では、欧州の強豪G2 EsportsのCEOが、年間売上約3,500万ドルのうち約1割を物販や会員サービス、企業向けの代理店事業などで得ていると語っています。

収益の柱になれるかは「再現性」と「成果の見える化」次第

若手の採用が難しくなるなか、ゲームを共通の話題にして若い世代と接点をつくれることは、企業にとって分かりやすい価値です。ただし、今回示された数字は延べ参加人数や着座率といったイベント単位の指標にとどまり、実際の入社人数や契約金額は公表されていません。社内イベントや採用支援が第3の収益柱に育つかどうかは、チームの知名度や身内のつながりに頼らず、ほかの企業でも同じ成果を再現できるか、そして採用につながった実績を数字で示せるかにかかっています。

執筆:eスポーツニュースジャパン

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