【PERSOLインタビュー】発展途上の業界では、日頃の経験が未来の自分を豊かにしてくれる─eスポーツイベント制作の裏側─吉桝 準
2023年11月から12月にかけて行われた「ライブリッツ esportsチーム グローバルオーディション」。本イベントは株式会社ライブリッツが新設する『Fortnite』プロチームのメンバーを選定するオーディションイベントで、総合人材サービスブランドである、パーソルホールディングス株式会社による支援のもと、『Fortnite』ストリーマーとして活躍するLiaqNさんがプロデューサーを務めました。
本稿では、同企画の最終オーディション会場で実施された”制作スタッフインタビュー”の模様をお届け。eスポーツ業界を日夜支え続ける専門職の方々へ、業界に興味を持つ学生陣がさまざまな質問を投げかけました。
今回インタビューにお答えいただいたのは、株式会社Reignite Entertainment(Reignite)でイベント事業部に所属する吉桝 準(よします じゅん)さんです。
参加者と視聴者がどちらも楽しめるイベントを作りたい
ーー簡単な自己紹介と、現場でどのようなお仕事をされているのか教えてください。
吉桝 準さん(以下、敬称略):株式会社Reignite Entertainment(Reignite)にて、イベント事業部に所属しています。私は元々プロゲーマーをしていて、その流れでeスポーツ業界のイベント制作に携わるようになりました。今はeスポーツプレイヤーのアテンドをメインに、現場では機材チェック等も担当しています。
ーーeスポーツイベントの現場において楽しいこと、苦労したことについて教えてください。また、「ライブリッツ esportsチーム グローバルオーディション」の開催にあたって吉桝さんが心がけた点はありますか?
吉桝:今回のイベントを含め、私は企画を考えるうえで「参加者と視聴者が両方とも楽しめるか?」を念頭に置いています。その過程で生じやすいトラブルとして「出演者やスタッフ間の連携ミス」も挙げられますが、コミュニケーションを怠らず、たとえ失敗したとしても反省を踏まえれば成長に繋がると思います。
ーーeスポーツ業界で開催されるイベントは多岐に渡りますが、実際に企画を立ち上げる際はどのぐらい前から動くのでしょうか?
吉桝:イベントの規模に左右されますが、大きいものであれば早い段階で会場などを押さえないといけません。企画によっては半年前や1年前から構想を立てる場合もありますね。まだ全容が見えていない時は、あらかじめサイズ感の異なる会場を複数用意しておき、イベント内容が分かった時点で場所を確保する……というケースも見られます。
ーーeスポーツイベントの制作に際し、事前に注意しないといけない点はありますか?
吉桝:使用タイトルのパブリッシャーに許諾をもらい、規約を理解することが大事です。事前にいただいた資料を読み込み、不明点があれば当日までに確認しておく。これだけでも作業が円滑に進むと思いますし、些細なことでも分かっていれば、事前に改善ポイントの提案もできるようになります。
色々なeスポーツイベントを体験しておいて損はない
ーーeスポーツイベントの制作現場では、どのシチュエーションでも対応可能なマニュアル等はありますか?
吉桝:最低限のマニュアルはどうしても一般常識レベルのものになりますね。例えば『Fortnite』の場合は海外パブリッシャーなので、許諾をもらいながら「事前にここまでは作業を進めてOK」という流れです。
やはりタイトルや企業ごとに方針も違うので、もし今後eスポーツ業界に入りたいと考えているなら、色々なeスポーツイベントに目を通しておいて損は無いはずです。それがオンライン上での視聴だったとしても、演出面や番組の構成を考えながら見るのが大事だと思います。
ーー差し支えの無い範囲で構いませんので、eスポーツイベントの制作現場における失敗談や教訓があればお伺いしたいです。
吉桝:自分の体験談になりますが、過去に一度、eスポーツイベントの現場でブレーカーが落ちたことがありました。あとは起こりやすいミスとして、コミュニティイベントにおけるタイトルの扱い方も注意したいポイントですね。たとえオンライン上で試合を中継しなかったとしても、金銭が発生しているイベントであれば事前にパブリッシャーから許諾をもらう必要があります。
ーーでは最後に、2023年のeスポーツイベント制作現場で最も印象深かったできごとについて教えてください。
吉桝:2023年は『Apex Legends』(Apex)のeスポーツイベントが印象に残っています。と言うのも『Apex』の大会は数も多く、普通のルールだと刺激があまり感じられない場合も多いんです。そこで私が自分で『Apex』について調べつつ、イベント用にオリジナルルールを考えました。その結果、参加者と視聴者の両方に楽しんでいただけたようで嬉しかったです。
今回は『Fortnite』の現場だったので、自分も色々と調べながら今後の糧にしたいと思います。ぜひ皆さんもたくさんeスポーツイベントを見て、興味のある方は頑張って制作現場に足を踏み込んでみてください。
ーー本日はありがとうございました!
執筆:eスポーツニュースジャパン編集部