【2025年版】eスポーツタイトル賞金総額ランキングTOP10(PC&コンソール編)
近年、eスポーツは単なる“ゲーム大会”の域を超え、世界中で巨額の賞金が動くプロスポーツとして確固たる地位を築きつつあります。選手たちは戦略眼、反射神経、そしてチーム連携を武器に、時に数億円規模の栄光を懸けて戦い、観客はその一瞬の攻防に熱狂します。
大会のスケール拡大に伴い、スポンサー企業やストリーミングプラットフォームも続々と参入し、競技タイトルごとに形成される経済圏は年々拡大。なかでも注目されるのが、「賞金総額」という指標です。これは単なる数字ではなく、競技としての成熟度や国際的な人気、コミュニティの熱量を映し出す鏡でもあります。
本記事では、最新データをもとに「eスポーツタイトル別・賞金総額ランキング」(PC・コンソール編)を紹介。『Dota 2』や『Counter-Strike』といった世界的タイトルを中心に、なぜこれほどまでに資金が集まり、どのようにプロシーンを支えているのかを分析します。eスポーツの今を知るうえで、このランキングは“競技の勢いを測る最もわかりやすい指標”のひとつと言えるでしょう。
【2025年版】eスポーツタイトル賞金総額ランキングTOP10の調査基準
- 2025年度時点においてリリース済み(サービス稼働可否は問わず)のタイトルが対象
- 作品数を問わずシリーズを共通して競技シーンが展開されている場合、最新タイトルの情報を記載する
- 公式サイト(メーカー/開催元)、Esports Chartsなどの情報をもとに賞金総額を調査
- タイトルやイベントを問わず賞金総額は概数で記載
第1位:『Dota2』(約526億円)
- ジャンル:MOBA
- メーカー:Valve
- リリース日:2013年7月9日
- 公式サイト:https://www.dota2.com/home?l=japanese
『Dota 2』は世界的に人気を誇るチーム対戦型オンラインゲームで、eスポーツの代表格として知られています。本作では5人対5人のプレイヤーが2チームに分かれ、それぞれ自陣にある「エンシェント」と呼ばれる拠点を守りつつ、相手チームの拠点破壊を目指します。プレイヤーは100体以上いる「ヒーロー」と呼ばれるキャラクターから1人を選び、チームで連携しながら戦略を立てて戦います。
eスポーツとしての『Dota 2』は、特に賞金総額の高さで注目されています。年に一度開催される世界大会「The International」(TI)では、過去に賞金総額が数十億円に達したこともあり、ゲーム大会としては世界最大規模を誇ります。高度な戦略性、個々のプレイヤースキル、チームの統率力が試される『Dota 2』は、単なるゲームを超えて「頭脳戦のスポーツ」として世界中の観客を魅了し続けています。
第2位:『Counter-Strike』(約268億円)
- ジャンル:FPS
- メーカー:Valve
- リリース日:2023年9月27日(Counter-Strike2)
- 公式サイト:https://www.counter-strike.net/cs2?l=japanese
「Counter-Strike」シリーズは、eスポーツ黎明期から続く伝説的なチーム対戦型FPS(ファーストパーソン・シューティング)ゲームです。テロリスと対テロ特殊部隊に分かれ、爆弾設置や人質救出などの目的をめぐって5対5で激突します。1ラウンドごとに資金が配分され、武器や装備を購入する戦略要素もあり、正確な射撃技術だけでなく、駆け引きやチーム連携が勝敗を大きく左右します。
eスポーツの歴史において、「Counter-Strike」は競技シーンの礎を築いた存在と言っても過言ではありません。2000年代初頭から世界大会が開催され、現在も最新作『Counter-Strike 2』でその伝統が受け継がれています。観戦のしやすさと緊張感のある展開から、初心者でも理解しやすい競技性を持ち、20年以上にわたり世界中のプロゲーマーや観客を惹きつけています。
第3位:『Fortnite』(約208億円)
- ジャンル:バトルロイヤル/シューティング
- メーカー:Epic Games
- リリース日:2018年3月8日
- 公式サイト:https://www.fortnite.com/?lang=ja
『Fortnite』は、アメリカのEpic Gamesが開発したバトルロイヤル型アクションゲームで、100人のプレイヤーが1つの島に降下し、最後の1人(またはチーム)になるまで戦うというシンプルなルールが特徴です。建築要素やカジュアルなビジュアルで幅広い層に人気を集め、世界中で数億人規模のプレイヤーが遊んでいます。
eスポーツとしての注目度を一気に高めたのは、2019年に開催された世界大会「Fortnite World Cup」です。総額約33億円(3,000万ドル)という前代未聞の賞金規模で行われ、当時16歳の米国プレイヤー”Bugha”がソロ部門優勝を果たし、約3億円の賞金を獲得。このニュースは世界的に報道され、『Fortnite』が“次世代のスポーツ”として認知されるきっかけとなりました。
以降もEpic Gamesは公式大会やシーズンイベントを通じて多額の賞金を提供し続けており、誰もがスターになれる”開かれたeスポーツ”として、その存在感を確立しています。
第4位:『リーグ・オブ・レジェンド』(約178億円)
- ジャンル:MOBA
- メーカー:Riot Games
- リリース日:2009年10月27日
- 公式サイト:https://www.leagueoflegends.com/ja-jp/
『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)は、5人ずつのチームが相手の拠点「ネクサス」を破壊することを目的に戦う対戦型ゲームです。各プレイヤーは「チャンピオン」と呼ばれるキャラクターから1体を選び、それぞれがTOP/MID/BOT/SUP/JGの各ロールを担いつつ、チームで連携しながら勝利を目指します。ルールは複雑ですが、試合の流れは観戦者にも比較的理解しやすく、戦略性とアクション性が両立していることが特徴です。
eスポーツの舞台でも『LoL』は圧倒的な存在感を誇ります。毎年開催される「World Championship」(Worlds)では数十億円規模の賞金が提供され、プロチームや選手たちは名誉と巨額の報酬をかけて戦います。
例えば「Worlds 2023」の賞金総額は約60万ドル以上に上り、個人とチームに分配され、世界中の視聴者数は数千万人規模に達しました。『LoL』は戦略性・チームワーク・個人技が高次元で融合したeスポーツタイトルとして、世界中で最も競技プレイヤー人口が多く、賞金規模でもトップクラスの人気を誇っています。
第5位:『PUBG』(約97億円)
- ジャンル:バトルロイヤル/シューティング
- メーカー:KRAFTON
- リリース日:2017年12月20日
- 公式サイト:https://www.pubg.com/ja/main
『PUBG』は、100人のプレイヤーが1つの島に降下し、最後の1人または1チームになるまで戦うバトルロイヤル型のシューティングゲームです。プレイヤーは武器や装備を現地調達し、広大なフィールドで戦略的に移動や射撃を行いながら、最後の1人(チーム)になるまで生き残ることが求められます。リアルな銃撃戦と緊張感あふれるサバイバル要素が特徴で、個人の技術だけでなくチームワークや立ち回りの巧妙さも勝敗を左右します。
国内外問わず、『PUBG』の競技シーンは盛況を見せたことでも有名です。2021年の「PUBG Global Championship」では、総額約12億円(1,000万ドル)をかけて世界中のトップチームが参戦しました。シンプルながらも戦略性と緊張感を兼ね備えたゲーム性で、『PUBG』は今なおeスポーツタイトルとして根強い支持を獲得しています。
第6位:『レインボーシックス シージエックス』(約86億円)
- ジャンル:FPS
- メーカー:Ubisoft
- リリース日:2015年12月1日
- 公式サイト:https://www.ubisoft.com/ja-jp/game/rainbow-six/siege
『レインボーシックス シージ』(R6S)は、Ubisoftが開発した5vs5のチーム対戦型FPSです。プレイヤーは様々な特殊技能を備えた「オペレーター」を選択し、攻撃側(ボム解除)と防衛側(ボム防衛)に分かれて戦術的な戦闘を繰り広げます。2015年のリリース以降eスポーツとしても人気が高く、世界中で大規模な大会が継続的に開催されています。
『R6S』の競技シーンはコンソール版とPC版の両方で盛況を見せ、世界大会「Six Invitational 2025」では賞金総額が約4.6億円、「RE:L0:AD Rio 2025」では約7,500万円に達しました。また、賞金総額7,000万ドル(約100億円)にのぼる「Esports World Cup 2025」においても、『R6S』は正式種目として採用されました。
さらに2025年6月10日からは、基本プレイ無料化にともなって新たなゲームモード等が追加された『レインボーシックス シージエックス』として生まれ変わり、正式リリースから10周年を迎えるタイミングで新規ユーザーの注目を集めています。
第7位:『Call of Duty』(約70億円)
- ジャンル:FPS
- メーカー:Activision
- リリース日:2025年11月14日(Call of Duty: Black Ops 7)
- 公式サイト:https://www.callofduty.com/ja
元々は家庭用ゲーム機向けタイトルとして誕生した『Call of Duty』(CoD)。同作品は、第二次世界大戦などの戦場を舞台にしたFPSで、一人用のキャンペーンモードが充実しているだけでなく、シリーズを重ねるにつれてマルチプレイヤーモードに絶大な支持が寄せられました。ゲーム全編を通してスピーディーかつ高密度の銃撃戦が繰り広げられ、ポジショニング、マップコントロール、チーム間の連携が勝敗を決定づける競技性の高いeスポーツタイトルです。
プロシーンの中心は「Call of Duty League」と呼ばれる競技イベントで、チームはリーグ戦を通じて数億円規模の賞金(総額)を争います。2023年シーズンでは総額約4億円(約300万ドル)が提供され、優勝チームやプレイヤー個人に分配されました。
「CoD」は試合の緊張感、戦略的複雑性、そして高度な個人技の融合により、賞金規模だけでなく競技的成熟度でも世界トップクラスのFPSタイトルとして、長年にわたりeスポーツの中核を支えています。
第8位:『オーバーウォッチ』(約67億円)
- ジャンル:FPS/シューティング
- メーカー:Blizzard Entertainment
- リリース日:2022年10月4日(オーバーウォッチ2)
- 公式サイト:https://overwatch.blizzard.com/ja-jp/
5人1組のチーム制で様々な競技ルールに挑戦する『オーバーウォッチ2』。各プレイヤーは「ヒーロー」と呼ばれる特殊能力を備えたキャラクターを操り、攻撃側と防衛側に分かれてマップ上の目標を奪い合います。本作はシューティング要素が強いものの、射撃スキルだけでなく、チーム単位での戦術や各プレイヤーの役割分担がとにかく重要。「タンク」「ダメージ」「サポート」といった各ロールのプレイスタイルに則ることで、スピーディーかつ戦略的なバトルが楽しめます。
本作のeスポーツ施策は、前作『オーバーウォッチ』の時代から続く「Overwatch League」(OWL)が中心です。OWLでは各地域世界中のプロチームが年間を通じてリーグ戦に挑み、2023年シーズンでは総額約3億円の賞金が用意され、優勝チームや個人MVPに分配されました。
2024年度にOWLは終了となったものの、2025年度からはフォーマットを新たにした競技シリーズ「Overwatch Champions Series」(OWCS)がスタート。本大会はオープン形式となり、日本を含む各地域の強豪チームがしのぎを削り合っています。
第9位:『ロケットリーグ』(約66億円)
- ジャンル:スポーツ/アクション
- メーカー:Epic Games
- リリース日:2015年7月7日
- 公式サイト:https://store.epicgames.com/ja/p/rocket-league
『ロケットリーグ』は、ミニチュアサイズの車両を操作してサッカーをプレイするスポーツアクションゲームです。プレイヤーは3人1チームで高速に動く車を操作し、ボールを相手ゴールに入れることを目指します。
単なる操作の上手さだけでなく、チーム戦術やポジショニングが勝敗に直結する点が特徴です。また、ゲーム内ではリアルなメーカーとコラボした車両やスキンがDLCとして登場し、プレイヤーは自分だけのカスタムカーで試合を楽しめます。
本作の競技シーンでは、公式大会「Rocket League Championship Series」(RLCS)が盛り上がりを見せています。例えば「RLCS 2025:World Championship」では、総額約1億8000万をかけて熱戦が繰り広げられました。戦略性とスピード感を兼ね備え、さらに多彩なカスタマイズ要素で観戦者も楽しめる、世界的に人気のeスポーツタイトルです。
第10位:『VALORANT』(約64億円)
- ジャンル:FPS
- メーカー:Riot Games
- リリース日:2020年6月2日
- 公式サイト:https://playvalorant.com/ja-jp/
PC用ゲーム『VALORANT』は、『LoL』で有名なRiot Gamesが手掛けるチーム対戦型のタクティカルシューターです。5人1チームで戦い、攻撃側は爆弾(スパイク)を設置、防衛側はそれを阻止するというルールを採用。デュエリストやイニシエーターなど、役割ごとに様々な性能を備えた「エージェント」(キャラクター)が登場し、プレイヤーは彼らを操り、味方と連携しながら目標の達成を目指します。
正式リリースから5年とまだ日は浅いながらも、国内外ともにeスポーツ人気も高め。世界大会「VALORANT Champions Tour(VCT)」では総額約3億円(約200万ドル)規模の賞金が用意され、日本を含む各地域のトップチームが世界一を争います。2023年大会ではブラジル・ロサンゼルスなど世界各地で国際戦が開催され、オンライン視聴者数も数百万人に達しました。
さらに2026年のVCTでは、昇格制度「Ascension」が廃止され、新たに地域リーグから直接世界大会を目指す「Path to Champions」が導入されます。大会形式もトリプルエリミネーション制となり、3敗するまで敗退しない構成に。Mastersの出場枠拡大なども行われ、より公平で激戦な競技環境へ進化すると見られます。
まとめ
2025年時点のeスポーツを俯瞰すると、賞金総額は単なる競技規模の指標にとどまらず、タイトルごとの「文化的地位」や「運営力」を示すバロメーターとなりつつあります。
上位タイトルの多くは、長期的なリーグ運営や国際大会の整備により安定した競技シーンを確立しており、とりわけ『Dota 2』『Counter-Strike 2』『VALORANT』『LoL』などは、プレイヤー人口と観戦者層の両面で高い熱量を維持しています。加えて、クラブ単位での競技やストリーミングを活用したファンエコノミーの拡大も進み、eスポーツは「ゲーム大会」から「総合的なエンターテインメント産業」へと確実にシフトしています。
一方で、巨額の賞金を支えるスポンサーシップやリーグ構造の持続可能性といった課題も依然として残ります。とはいえ、各タイトルが競技性・観戦性・ブランド価値を磨きながら進化を続けていることは確かでしょう。賞金総額ランキングは、そうした世界的潮流を映す鏡でもあり、今後のeスポーツの未来を占ううえで欠かせない指標になると言えます。
執筆:eスポーツニュースジャパン編集部