【特別企画】2024年を振り返るeスポ対談|生涯忘れられない体験をした『スト6』取材や『VALORANT』国内チームの躍進に心湧いた一年
新年明けましておめでとうございます。2021年度より始動した「eスポーツニュースジャパン」(eスポ)では、『VALORANT』や『Apex Legends』、『リーグ・オブ・レジェンド』等々、ジャンルを問わず様々なeスポーツタイトルを追いかけ、記事のみならず動画でも情報発信に努めてまいりました。
今回は2025年一発目の特別企画として、取材記事や関連動画を交えつつ、「eスポ的・2024年度の振り返り対談」の模様をお届けします。
対談に参加したのは、eスポで記事や動画制作を担っている2名のライター。気になったトピックは各種リンクを参照しつつ、気軽に読み進めていただけると幸いです。
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eスポはアウトプット手段を模索した一年に
ライターT:2023年に続く年末企画と言うことで、今回はライターのMさんと色んな振り返りができればと思います!早速ですが、今年のeスポーツニュースジャパンでの取り組みについて教えていただいてもよろしいでしょうか。
ライターM:よろしくお願いします!いきなりかもしれませんが、個人的には中々「難しい一年」だったと思います。
ライターT:開幕から気になる話題が出ましたね。具体的にどの辺りが難しかったのでしょうか。
ライターM:eスポは以前からTikTokで『VALORANT』や『Apex Legends』のハイライト動画を投稿していたんですが、2024年からYoutubeチャンネルも本格的に開設しました。そこで動画を1年間にわたって色々と上げましたが、色々と初めてなことが多かったんですよね。
ライターT:Youtubeチャンネルではeスポーツに関するニュース動画を制作されていますね。
ライターM:そうですね。自分で動画にナレーションを入れるのも最初は恥ずかしかったり(笑)。あとは記事と動画で制作過程も違いますし、諸々の作業と両立させることに苦労しました。ただ、それでも新しいことに挑戦できた一年だったと感じています。
ライターT:動画編集や記事制作を通して様々な情報に目が入ったと思われますが、2024年のeスポーツシーンを振り返って気になった点はどうでしょうか。
ライターM:eスポーツタイトルの競技シーンはそれこそ色々と調べましたが、個人的なところで言うと『オーバーウォッチ2』(OW2)はすごく盛り上がっていたと思いますね。「Crazy Raccoon」や「ZETA DIVISION」が優秀なプレイヤーを揃えたのも含め、国際大会でもしっかりと結果を残していました。加えて、昨年に続き『ストリートファイター6』(SF6)も話題になったと思われます。
ライターT:納得の2作品ですね。どちらのタイトルも競技シーンのみならず、ストリーマーによるゲーム配信も相まって人気を集めたように見受けられます。「RAGE」や「CRカップ」、「LEGENDUS」といった大規模イベントも、話題を呼ぶきっかけになったのではないでしょうか。
ライターM:あとは『スト6』で言うと、若手プレイヤーの活躍にも注目したいです。個人的には、「エヴァ:e」に所属中のひかる選手が気になっていて。彼は『SF6』プレイヤーなんですが、今年の「Esports World Cup」でトップ8に進出したり、「ストリートファイターリーグ」でも本当に強かったんです。安定して結果を出していますし、これからの活躍に期待が高まりますね。
ライターT:仰る通り、やっぱり若手プレイヤーが伸びてくるとコミュニティの空気が活性化すると思います。これは様々な競技シーンに言えることですが、特に国内の競技シーンが長く続いてきた対戦格闘ゲーム(格ゲー)なら尚更ではないでしょうか。
ライターM:そうですね。それにプレイヤーの方々も活動歴が長い方が多く、配信等で語られる経験談がどれも面白いですね。僕個人もそうですし、『SF6』から格ゲーに興味を持った人にも楽しんでもらえるような話題作りが上手だと思います。
ライターT:格ゲーは『ストリートファイター2』の時代から数えると、実に30年以上の積み重ねがありますからね。当時から遊んでいたプレイヤーが今も最前線で戦っているという現状は、それこそ歴史が詰まっていると言っても過言ではないと思います。『スト6』でカジュアル層からも注目を浴びた格ゲーシーンですが、いずれにせよ2025年の動向にも気を配りたいですね。
忘れられない体験になった「RAGE」取材。『VALORANT』では国内チームの動向に期待
ライターT:Mさんには2024年も各方面でイベントを取材していただきました。どれも特色があったと思われますが、個人的に印象深いエピソードがあれば教えてください。
ライターM:そうですね。今年で言うと、RAGEが開いた『OW2』と『SF6』のイベントが忘れられない体験になりました。と言うのも、そこで初めて格ゲーの競技イベントを間近で取材することになったんです。それまでは『VALORANT』等のFPSタイトルがメインだったので、あの時の熱気は感動しましたね。
ライターT:それは「観戦時に空気感が違った」というイメージでしょうか。
ライターM:分かりやすい部分で言えば、「全員が同じ画面を見ている」ことだと思うんですよね。格ゲーって観客もプレイヤーも「同じゲーム画面」を見るじゃないですか。これがFPSの場合だと、プレイヤー側と観客側で見ている画面にどうしても違いが生じます。逆に全員が同じ画面を見つめていれば盛り上がる瞬間も共有しやすいと思いますし、そこが他タイトルとの大きな違いだと感じました。
ライターT:先ほどの話題にも通じる部分ですね。では一方の『VALORANT』の取材はいかがでしたか。
ライターM:『VALORANT』も国内大会であれば現地で取材し、海外大会にもしっかりと目を通してきましたが、やっぱり「VALORANT Challengers Japan 2024 Split 2」が印象深いです。「RIDDLE ORDER」(RIDDLE)が強豪「FENNEL」相手に奮戦し、運命を変えるクラッチプレーでそのまま逆転優勝をもぎ取ったのは強烈でした。
ライターT:RIDDLEは新人プレイヤーが多かった一方、FENNELはオフライン大会の出場経験が豊富かつ実力も確かだった。そうした中、高い壁を崩してRIDDLEのオフライン大会優勝が『VALORANT』シーンに与えた影響は大きかったと思われます。また直近で言えば、国内チーム「DetonatioN FocusMe」(DFM)の躍進も記憶に新しいですね。
ライターM:DFMは分かりやすく強いロースターを見事に機能させていますね。特にフィジカルを強化して、世界の強豪プレイヤーと撃ち合えることを見据えたチーム編成だと思います。実際に11月に行われた「VALORANT Radiant Asia Invitational」でも撃ち負けていなかったですし、誰が残ってもクラッチを狙えるチームとして仕上がったのではないでしょうか。
ライターT:はっきりと「生まれ変わった」というふうに捉えても良さそうですね。
ライターM:実際にこれからどうなるかは分かりませんが、meiy選手(DEM所属)にインタビューさせていただいた時に、「以前は負け癖がついてしまっていたけど、最近は勝つ感覚が分かってきた」というコメントをもらえたんです。なのでメンタル面でも安定し、結果的に安定した戦績を残せたんだと思います。
どうなる2025年の『LoL』競技シーン。一方ストリーマー牽引によるプレイヤー人口の増加も
ライターT:MさんにはFPSや格ゲーを含め、多方面でeスポーツ情報の発信に努めていただきました。逆に僕はと言うと、プライベートでもプレイしている『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)が中心になっていました。そういうわけで、世界大会「Worlds 2024」で2連覇を成し遂げた「T1」は欠かせないトピックですね……!
ライターM:Worldsの試合は自分も気になって追いかけました。年間の優秀なゲーム作品を称える「The Game Awards」でも、『LoL』やプレイヤーの「Faker」選手、そして彼が所属する韓国チーム「T1」が受賞していましたね。
ライターT:そうなんです。大いに注目を集めたきっかけとして、世界大会での優勝があるというわけで。でもWorldsの前に行われた韓国リーグ戦「LCK 2024 Summer」を見ると、1位が「Hanwha Life Esports」で2位が「Gen.G」となっていて、T1は4位に終わっているんです。
それでもWorldsの本戦にたどり着き、同郷の韓国チームや世界の猛者を押しのけて優勝したのは、月次な表現で申し訳ないですが”ドラマ”と言わざるをえません。また、今回の勝利で「Faker選手が5個目のWorldsトロフィーを獲得した」という点も、このエピソードに拍車をかけていますね。
ライターM:僕は『LoL』をプレイこそしないんですが、傍目に見ても今年のWorldsは盛り上がっていた気がします。オープニングセレモニーに登場したロックバンド「LINKIN PARK」が歌う『Heavy Is the Crown』も胸が踊りました。
ライターT:高揚感を掻き立てる名曲でしたね。では国内の競技シーンと言えば、劇的な変化を迎えることになりました。
まずアジア太平洋地域をまたにかける新リーグ「LCP」が作られたことで、これまで『LoL』国内シーンを支えてきた「League of Legends Japan League」(LJL)が大きく様変わりします。2025年からは3種類のオープン予選が開かれ、優秀な戦績を収めたチームが「LJL FINAL TOURNAMENT」に進出。そこで優勝した1チームのみ、LCPに属するゲストチームとの入れ替え戦に挑める……という流れです。
ライターM:2024年度と異なる競技シーンになりそうですが、「年間を通した戦績が重視される」という点は良いと思います。それに特定の大会だけではなく、長い目で戦略が求められる点でも3つのオープン予選が設けられた意義があると思います。オープン予選なので条件を満たしていればプロでなくとも参加できますし、そういった面で競技シーンにポジティブな影響が及んでくれると良いですよね。
ライターT:僕も同意見です。もちろんフォーマットの変更によって戸惑いは生まれると思いますが、競技シーンの刷新によって若手プレイヤーの発掘や国内における競技シーンにも何らかの変化が生じるわけで。
そのほかストリーマーによるゲーム配信やコミュニティイベントの開催により、ここ数年の間で『LoL』プレイヤーは確実に増えていると思います。色んな面がプラスに働き、諸々がシーン全体の底上げに繋がってもらえると、1人のプレイヤーとしても嬉しい限りですね。
……と、『SF6』や『VALORANT』に続き、最後は『LoL』トーク中心になってしまいましたが、2024年度のeスポ振り返り対談をこのあたりで締めたいと思います!最後にMさんから来年の抱負をお聞きしてもよろしいでしょうか。
ライターM:そうですね……。最初にもお話しましたが、個人的に2024年は取材や執筆だけでなく、動画の展開を色々と試行錯誤した一年でした。これまでもニュース動画やハイライトを投稿してきましたが、来年はTikTokの方にも力を入れたいと考えています。なのでこれまでの作業で培ったノウハウをもとに頑張りつつ、2025年は”勝負の年”にしたいと思います!
ライターT:力強い意思を感じました。2025年も皆様どうぞよろしくお願いいたします!
執筆:eスポーツニュースジャパン編集部