【TGS2022】最先端を走り続ける3人が語るIAPゲームの広告戦略のイマとミライとは?-TikTok for Business
9月15日から4日間にわたって開催中の「東京ゲームショウ2022」(千葉県・幕張メッセ)。会期中は計600以上の企業がブースを出展し、ゲームにまつわる情報をオフラインとオンラインの両方で発信しています。
本稿では、国内ハイブリッド型広告マネタイズの先駆けである「モンスターストライク」を運営する株式会社ミクシィ、Ad Generationで多くのIAPゲーム(アプリ内課金)の広告マネタイズを支援するSupership株式会社よりゲストを迎え、Pangleとの3社によるトークセッションの様子をお届けします。
登壇者:
・Supership株式会社 サプライ推進部 サプライ営業2G Group Leader 中村 夏菜子 氏
・株式会社ミクシィ モンスト事業本部 ゲーム運営部 Plan&DirectionG 辻野 優 氏
・TikTok for Business Japan Pangle Business Development Manager 井上 裕貴
IAPゲーム広告マネタイズ戦略の今
近年IAP型のゲームと広告プラットフォームとの関わり方に変化があり、広告マネタイズに注目が高まってきています。今のIAPの市場の様子、成長力について、
辻野氏は「非ゲームの方が伸びているのデータがあり、それこそTikTokでもよく見る推し活などの市場に視野が奪われている状況です。また、ゲームの課金を伸ばすというのはかなり厳しい状況です。」と語られていました。
IAPについて、
中村氏は「普段アプリパブリッシャーの方と接しているんですが、特にここ2~3年では、IAPゲームの新規の方々の割合が増えてきていています。以前のIAPゲームではリリースして一定期間課金の状況をみて広告を入れ込む検討するケース多かったですが、今は最初から広告を入れ込むことを前提にリリースをしたいという相談が増えてきました。」と語られていました。
また、IAPの広告に対する考え方がどう変化したかについては、
中村氏は「ログインボーナス感覚で当たり前に見ているユーザーも増加していて、ユーザーさんもなれてきているなと感じます。リリース当初から広告と課金での収益計画を建てるという広告マネタイズも綺麗に実装されていてユーザーアビリティにも配慮されているのも感じます。」とも語られていました。
広告動画などではユーザーの任意で視聴できたりする面ではユーザーエクスペリエンス的なところにも配慮できるフォーマットの一つでもあることが分かります。
当時『モンスターストライク』(以下モンスト)では、どう感じていたのかに対して
辻野氏は、「モンストは課金で成り立っているところもあったので、動画広告を入れるとかは当時はならなかったです。動画広告を入れることによって世界観が変わるのではないのかというのもあり、関係ないものとして考えていました。」と語られていました。
井上氏も「当時は提案などはさせて頂いていましたが、マネタイズ面や世界観を崩してしまうなどの懸念点もありましたよね。」と語られていました。
SupershipのAd Generationについて、
中村氏は「アプリやウェブサイトなどでAd Generationを利用いただくことで、パブリッシャー様が広告収益を得られるいわゆるSSPのサービスです。ここ2~3年ではIAPゲームのパブリッシャーさんからの依頼も多くなりました。また、日本でIAPを組み込んできた際に私が当事者としてSDKの方とAd Generationに携わり、知見があるので、その知見を活かした提案などをさせて頂くようになりました。」と語られていました。
また、IAPはどのくらいの収益になるかについて
中村氏は「具体的な数字は難しいのですが、広告収益は表示回数と単価を掛け算して出されるのですが、だいたいIAPで広告を視聴するユーザーはDAU20%~50%と言われているのでそこから表示回数をだして、単価に関しては1再生が0.5円になるので幅などは広告どれだけブロックしているのかや、どれだけユーザーからの効果を得られるのかなど、幅は広がってしまいますがそんなイメージです。」と語られていました。
モンストのマネタイズ戦略
『モンスト』いつ頃動画広告を導入されたかについて、
辻野氏は、「導入したのが、2020年の3月で今年で3年目になります。導入した理由については、無課金ユーザーのマネタイズ化、収益化に着目して、色々課題はありますが、チャレンジしてみたいなと思ったからです。単純に収益化だけではなく、起動促進などにも繋げられるのではないのかとも思いました。」と語られていました。
無課金ユーザーのマネタイズはどこのゲームでも課題となっているが、動画広告を導入した際の社内、ユーザーの反応については、
辻野氏は「導入すると決まった時点では、かなり不安視する声が社内では多かったですね。でも、いざ、リリースしてみて、モンストの公式YouTubeチャンネルがあり、『モンストニュース』で入れて情報を解禁などをしたんですが、コメント欄を見るとかなり喜びの声が多く流れてきて、その後Twitterで検索してみても喜んでいるユーザーが多かったことから、凄く安心し、入れてよかったなと思いました。」と語られていました。
また、モンストのユーザーに嫌われないように戦略はどう立てたかについて、
辻野氏は「スモールスタートというのもあり、一番大事なのは収益に影響しないようにすることが大前提であったのですが、今では動画リワードが7箇所ほどあり、最初は1か所だけボックス拡張だけに動画リワードをいれました。ボックス拡張というのは以前は、ガチャを引くためのゲーム内通貨のオーブを利用して拡張をしていたのですが、ガチャでオーブを使いたいという需要を踏まえて動画リワードのシステムに変更しました。」と語られていました。
また、導入から3年ほどたった今の収益について
辻野氏は「額は言えませんが、利用者数・視聴回数でいうと着実に増えていっている傾向にはあります。ただ、動画リワードを見てちょっとしたインセンティブを毎日見続ける・受け取ろうという熱心なユーザーは多いので日々積み重ねやすいと思います。」と語られていました。
右肩上がりさせる為、収益を安定させるための工夫については、
辻野氏は「メディアの選定や日々のニュース通みたいなところは気を使っていますが、それ以上に気を使っているのは、流れる広告の質で、せっかく動画リワードを使って30秒などの貴重な時間を使って報酬を貰えるようになっているので、嫌な気持ちにさせないように動画のロード時間などの短縮などのクリエイティブの質をとくにこだわっています。」と語られていました。
この辺に関してはAd Generationではどのように関わっているかについて、
中村氏は「動画リワードは性質上他の広告会社さんから色々入れて頂く必要があるので、まずはそこを綺麗に実装して、在庫量をしっかり確保するのは大前提ではあります。広告の質に関しては、Ad Generationではクリエイティブチェック機能というのがあり、Ad Generationで流している広告はどんな広告が流れているのかを児童で取ってきて一覧で見れるようにしているので、mixiさんに共有して週に2、3回チェックしてもらっています。」と語られていました。
これからIAPゲームで動画広告を導入する上で一番気を付けなければならないことについて、
中村氏は、「動画リワード、広告ありきで設計されているゲームと僕らのような動画広告を後から入れるゲームと結構違うと思うのですが、後者の方だとメインのマネタイズの部分に狩場らない形で導入するのがいいと思います。スモールスタートで入れて頂いて、ユーザーにも慣れて頂いて、そこから拡大していく方がいいと思います。」と語られていました。
IAPゲームの広告マネタイズの未来について
直近のサイバーエージェントによる動画広告規模市場の推計によりますと、2025年までに色んな動画広告市場が1兆円に達成すると想定されています。これは、全てのフォーマットの合計であり、SNSで利用されているインストリームなどが主体ではありますが、動画リワードやTikTokなども60億程度の成長が推定されています。
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=27195
実際この統計についてどう思われるかについて、
中村氏は「Ad Generationから見ても、広告枠部分、バナーなどのも行っているのですが、動画リワードが一番成長率が高く毎年流通額は伸びています。広告市場の観点でもTikTokやYouTubeショートのコンテンツが増えてきたのでSNSだけではなく、動画リワードに着目されている方が多いと思います。」と語られていました。
辻野氏は「動画リワードをゲームに組み込むとなったときに組み込み方は一般的なもではなくこれからも発掘されていく可能性を秘めていると思うので、『モンスト』でもこれからも考え続けたいと思っている一方で、これ以上視聴回数・表示回数を増やすのも考えていかなければならないと考えています。というのも、ゲームをプレイするよりも広告を視聴している時間が長くなってしまうと本末転倒なので気を付けたいと思っています。」と語られていました。
モンストで今後やっていこうと思うマネタイズについて、
辻野氏は「動画を視聴するときのユーザーに極力ストレスを少なくしたいと思っています。具体的には、ロード時間や流れる広告の質などを改善したいと思います。」と語られていました。
今後の広告業界の成長について
中村氏は「動画市場は成長し続けると思うのですが、広告業界ではIDの規制であったり、色んなプレイヤーが乱立して統合したりもあるので、今後も進化し続けると思います。広告マネタイズを支援させて頂いている私にとっては、色んな広告業界のお話はあるが、ユーザーさんに正しく綺麗なモノを見てい頂くのと、それによってパブリッシャー様が収益を得て円滑にサービス面など盛り上げていけるような構造を目指し続けていきたいなと思います。」と語られていました。
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今後、IAPゲームは増加し今まであまり密接ではなかった広告業界と2足のわらじで歩んで行くと思われます。
近年の動画リワードの考え方なども日々進化していくと感じました。
今後のIAPゲームと広告業界との関係に注目です。
編集:eスポーツニュースジャパン