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【特集】「生きる伝説」ウメハラ選手にインタビュー !~eスポーツの過去・現在・未来について経験と共に伝説は語る~


日本を代表するプロゲーマーであるウメハラ選手。

これまでに数々の名シーンや伝説を残し、日本の格闘ゲームシーンをeスポーツという言葉が誕生する前から引っ張って来た存在です。

今回はそんなウメハラ選手にeスポ編集部が取材し、格闘ゲームを選んだ理由から、過去、現在、将来のeスポーツについてどう思っているかなどをお聞きしました。

現在の活動について

現在はどんな活動をされているのでしょうか?

コロナ禍にある今は、例年20近くあるプロツアーの海外遠征もできないので、自宅に居る分、日々配信をしています。これが9割ほどで、世界各地で行われていた大会が(ラグを防ぐため)地域限定型のオンライン大会として行われているので、頻度は少ないながらにも100%出場しています。

どんなゲームを配信でされているんですか?

一番やり込むのはやはり格闘ゲームです。

その他は、視聴者からこんな面白いゲームがあるよとおすすめされたゲームをすることが多いですね。

最近だと、テラリアというゲームを勧められました。あとは新女神伝説3、東方のシリーズ、塊魂などですね。

APEXとかFortniteをしようと思ったことはないんですか?

もちろん実際にプレイしたら面白いと思います。ただ、あそこまで人気のあるゲームだと本業に支障が出てしまうのではないかという危惧ですね。ハマってしまうととことんのめり込む性格なので、ゲーム性からして自分がそこまで行かないように制御できるものを選んでいます。

なぜウメハラ選手は「格闘ゲーム」を選んだのか

ウメハラさんにとって格闘ゲームの魅力は何ですか?

今40歳で格闘ゲームが最初に出たときが11歳の時なんですね。ストリートファイター2がゲームセンターに出た年。

当時の格闘ゲームは圧倒的に特別だったんですよね。音が出る、対戦が出来る。グラフィックが綺麗などなど。今のゲームにしたら当たり前のことですが、当時はものすごく画期的で、初めての体感に虜にされました。

その時の感覚や体験が自分の根底に今でもあってそれが原動力であり、それに対する特別な思い入れも相まってもってここまでやってきました。

今、格闘ゲームに限らず面白いゲームはたくさんあると思うんですよ。Apex,Fortnite,LOLなど。

それらと格闘ゲームの違いが自分の中にあるとしたら、自分の感受性が豊かだった時にあったのが格闘ゲームだったということですね。

個人戦を好む理由とは?

ー現在、若者は特にみんなとボイスチャットを繋ぎながらチームでゲームをすることが多いと思います。

その中で個人戦ならではの楽しさや辛い点があれば教えていただきたいです。

表裏一体ですよね。勝った時は全部自分の手柄であり、負けたときは全部自分の責任というところが良い点でも悪い点でもあります。

格闘ゲームでは、負けた時は間違いなく自分が全部悪いから、単純明快、煩わしいこともなく、性格に合っているなと思います。

プロになりたい人へ向けて

プロやストリーマーになりたい人が特に若い人の間で増えてきていますが、プロになるために最低限必要なことはありますか?

競技のプロだったら間違いなく腕が必要です。

ストリーマーであれば目を引くキャラクターやトークスキルが必要になると思います。

いずれにしろゲームは上手いほうが良いと思います。

また、「これはやっておいたほうが良い!」などのアドバイスがあれば教えていただきたいです。

esportsと他のスポーツとの最大の違いはゲームが変わっていくということです。極端に言えば、野球選手が野球をしていたのに野球じゃなくなるみたいなことが有り得る。

プロになるということは、自分の人生を賭ける大変なリスクを負う選択です。そのリスクを覚悟で進むプロの世界は毎日がリスクの連続だと言っても過言ではないでしょう。そのリスクを軽減するためにはゲームを攻略するスキルが不可欠です。

今時の人はゲームで少し詰まりを感じると、おそらくネットで攻略見て解決するのではないかと思います。ネットというものは本当に便利です。でも、攻略に関していうと僕は全くネットを見ません。

全くネットを見るなと言っているわけではないんです。なるべく自分で攻略するという力を身につけていかないと、たまたま自分に合ったゲームではトッププレイヤーになれるかも知れませんが、そんな自分の都合の良いことばかり続きませんから。 だから、自分で考えて、自分で試行錯誤して攻略する力、ゲームに対応する力を意識的に磨くことが大切だと思います。

プロゲーマーとして生きていくことの楽しいこと、つらいことをそれぞれお聞きしたいです。

僕個人としては、良いことの方が多いです。僕は一般社会の枠にはまることができない質だったので、そう感じる部分が多いのだろうと思います。 人にあれをしろ、これをしろとか言われたことをするのではなく、自分で考えて割と自由に行動して、結果を残せばよいという世界なので、気性にあっています。

つらいことは最大の趣味(格闘ゲーム)が仕事になっているので、純粋に楽しめないことがあります。

一般的に、勝敗によって世間は評価をするから、負けているとそれなりのプレッシャーがかかりますね。

ゲームに限らず、趣味を仕事にしている人が抱えている問題だと思います。単純に目が疲れるとか、体が痛くなるということもありますね。

健康面に関しても少し悪いイメージがありますよね。

ゲーム1日15時間を毎日続けるような生活はいくら若くても心身上問題だと思いますが、

それ以上に、若い時にゲームだけに没頭するのは人生の選択肢が色々な意味で狭まってしまうから、そのリスクを理解した上でどうしたいのかを考える必要があると思います。 苦労した自分の体験から言えます。

プロになるまでの不安、悩み

ー現在の子供たち、そして彼らの両親の悩みでもありますが、当時は今より「ゲームで暮らしていけるのか」という不安が大きかったと思います。

そういった悩みはウメハラさんにもありましたか?また、その悩みをどう解決しましたか?

始めたときはほとんど無かったですね。自分の得意なことでお金を稼げたという奇跡が嬉しすぎてがむしゃらになっていました。 稼げたと言っても知れた額ですが、子供の僕にとってはそれが嬉しくてたまらなかった。 3、4年目くらいからは、これをいつまで続けられるのかと不安を感じることもありましたが、28歳でプロになってからはそういう不安は感じないというか、不安よりも「やるしかない」という感じでしたね。 プロゲーマーという職自体が存在しなかったので、前例がなければ、相談相手もいない。とにかく、手探りで、自分で、一人で開拓していくしかなかったので、ひたすら前を向いて走ったという感じです。

両親からの反対はありましたか?

反対は無かったですね。当時28歳、ゲーム漬けの人生から足を洗って右往左往した後、ようやく落ち着いた職に付いたと喜んでいた時にプロの話が来たんですが、なんの見返りもなく熱中していた格闘ゲームというものが、全く報われることなく終わろうとしていたというのは、親としても不憫に思っていたようです。

一時的にとはいえ、評価されて理解をもらったというのは良いことだと思うから、やれる間は頑張ればいいんじゃないか、と応援してくれました。まさか10年も続けられるとは誰も想像していませんでしたが。

「esports」について

海外と日本のesportsの最も違う点は何だと思いますか?

僕の認識ではesportsが一番盛り上がっている国が韓国で、次がアメリカ・中国。その3つが三大esports大国で、次が日本だと思います。
その地域の盛り上がり様は、イベント一つ見ても規模や頻度に反映されています。 発展すればスポンサー企業がどんどん参入して規模も大きくなるし、発展すればいろんな人に理解もされるようになる。 この数年で日本はだいぶ良くなってきたかなと思います。

国土の広いアメリカや中国では上手い人たちがとてつもなく離れたところに住んでいるというのがあり得るけど、日本は(地理的に)狭いので、もっと盛り上がって本格的に日本の若者がやる気を持てば、比較的簡単にオフラインで練習できることはかなり有利になると思います。

最近徐々に増えているコーチングについてどう思っていますか?

コーチがいるのと、いないのでは間違いなくいたほうが強いので、ニーズがある仕事だと思います。 ただ、僕自身は、自分で考えて自分で行動し、負けも自分の責任として背負うのが性にあっているので、個人戦がいいのだと思います。

ウメハラさんにコーチになってほしい人は多いと思いますが、そういった展望はありますか?

人に教えるのや、指示を出すのと、自分で動くのは違うスキルを要するのでどうなんでしょうかね。

ー確かに日本のesports業界もチームの活動、大会の視聴者数、企業のスポンサー数などを見ると非常に盛り上がっているように思います。

プロゲーマーになりたい若者にとってはチャンスだと思いますか?

俺らの時代でいえば好きでやるしかなかったというか、「好き」という熱意だけで見返りもなくやっていたゲーム。やった先に何もなかったので、そういう時代に比べればチャンスと言えますが、競争も激しくなっているので、チャンスと一言に言えるのかはわかりません。

ただ、好きなこと=職業ではなかった時代から、=生業になりうる、という展望は、好きなことを突き詰めてもいいんだ、という考え方をもたせてくれるという意味で大きな変化をもたらしていると思います。

ウメハラ選手の未来について

個人として今後の展望や、行っていきたいことはありますか?

国内や世界タイトルももらっているので、昨今配信企画として力を入れているイベントに対して夢が広がります。もちろん現役として、まだまだこれからも第一線でやっていくつもりです。 これもやりたい、あれもやりたい、とアイディアが湧いてその実現にワクワクしています。

最後に読者やファンにメッセージをお願いします。

若年層がゲームに対してネガティブな気持ち持たずに真っ直ぐプロになりたいと言える時代が来たというのがとても嬉しいです。
僕が子供の頃はゲームは人に言えない趣味だったので、それが20年くらい経って堂々とゲームが好き、プロになりたいと言える時代になったのは本当に驚きです。

何事も好きが継続の糧になります。 消して平坦な道ではありませんが、好きという気持ちがあれば苦しさも乗り越えられます。自分を信じて頑張ってください。

最後に

ライブ配信サービス「Mildom(ミルダム)」を運営する株式会社DouYu Japanが、2021年9⽉12⽇(⽇)に今回インタビューさせていただいた梅原⼤吾さんが主催する初⼼者向け⼤会「Beast Cup -Gekokujo2-」をライブ配信いたします。

ぜひこちらの記事から詳細をご確認ください。

https://esportsnewsjapan.jp/archives/81564

本日も記事を読んでいただきありがとうございました。

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