「昨日の自分に勝ち続け、一歩ずつ前進する」RRX Apex部門 Rowhai選手・ちゃんりよコーチにインタビュー!
迫る2025年4月13日より開幕するALGS Year5 Split1 APAC-NORTHプロリーグ。
Year5を迎えたALGSでは新たにレジェンドBANシステム、WorldsEdgeに代わりBrokenMoonが追加され、新たに一新された環境となりました。
今回はプロリーグおよび4月末より行われるALGS OPENへ出場するRRX Apex部門へインタビューさせていただきました。
チーム内でInGameLeader(司令塔)を務めるRowhai選手、ちゃんりよコーチのお二方にレジェンドBANへの印象やチームとしての強みなどについてお伺いしましたので、ぜひご覧ください。
——自己紹介からお願いします。
Rowhai選手(以下、敬称略):RRX Apex部門でIGLをしていますRowhaiです。
ちゃんりよコーチ(以下、敬称略):同じくRRX Apex部門でコーチを務めていますちゃんりよです。


——FPSゲームを始めたきっかけは何ですか。
Rowhai:小学生4.5年生くらいの時に友達の家でPS3のCoDをやったのがきっかけで、そこから自分でPS3を買ってCoDやBFを触りました。
そこからずっとFPSを続けている感じです。
ちゃんりよ:FPSを始めたのはどこからかは覚えていないのですが、ゲームに触れたのは3歳くらいの時に家にあったゲームキューブに触れてから、常に家にはゲーム機がある環境だったので、ゲームには長く触れてきたという感じです。
——選手、コーチを始めたきっかけは何ですか。
Rowhai:eスポーツの選手として始めたのはフォートナイトで大規模な大会が開かれているのを見て、それに参加したくて始めたのがきっかけですね。
そこからCSGO、最終的にApexへと流れてきて、Apexのプロをしています。
ちゃんりよ:1番は人と違うことをすることがしたかったからです。大学生の時に人と違うことをするという時に特にゲームが好きだったので、色々なチームに応募して加入しました。
“レジェンドBANシステムは実力主義かつ対応力が求められる”
——Year5からレジェンドBANシステムが始まりましたが、体感としてはいかがでしょうか。
Rowhai:色々なチームが様々に違う構成を使っていることから、対応の難しさを感じました。
ちゃんりよ:今までだとメタ構成があり、それに合わないチームは落とされていくというメタによって強いチーム、弱いチームが変わっていくのが通例のスタイルであったのが、レジェンドBANシステムの導入で本当に実力主義で対応力に差が出てくると感じています。
——レジェンドBANの採用でメタ構成以外を考える点が増えたかと思いますが、様々な構成を考えるという点で面白い部分はありますか
ちゃんりよ:レジェンドがBANで使えなくなって、一部構成が使えなくなることは面白くは無いですが、BANの予想がハマると気持ちいと感じます。
——ストームポイントにてコースティックを採用されていますが、採用理由は何でしょうか
Rowhai:2つ前のチームからコースティックを採用した構成を使っていたのですが、1点目が自分のスタイルあっている
2点目は自分たちが課題としている強気にいけない場面でもコースティックのULTで取り切りに行こうという指示を出しやすいので、コースティックを選んでいる要素になります。
ちゃんりよ:コースティックを採用しているのはクリプト対策です。
レジェンドBANシステムでクリプトがBANされるまでは基本的にコースティックを採用しています。
他のコントローラーキャラはクリプトのEMPリブートでアビリティを封じられてしまうのですが、コースティックはガスを撃つだけで起動させられるという点で周りの部隊の移動に時間をかけさせつつ、色々な射線で戦えるという強みがあるため採用しています。
コースティック採用において難しい点は移動なのですが、1試合目はアッシュを採用できるという点から問題なく試合を進行できます。
2試合目はクリプトで徐々にエリアを丁寧に取っていくことで、コースティックの弱みを少しでも軽減できるような立ち回りをしています。
——新しく追加されたブロークンムーンに関しては競技MAPとしてどのような印象を持っていますか
Rowhai:安置が比較的読みやすい部分が良いですが、チョークポイントが多いので自分たちがホールドするポジション、一時的に取るポジションの判断が難しい印象です。
ちゃんりよ:特にMAPにおいて難しいといった印象は無いですが、個人的にはワールズエッジが無くなったのが大きいと思います。
競技歴の長い選手たちが有利な部分はどうしても有り、RRXはRowhai選手以外は競技歴がそこまで長くはないので、チーム的には追い風になったかと思います。
——POIドラフトはかなり思い通りの結果になったとのことですが、ピックしたランドマークにはどのような意図がありますか
ちゃんりよ:基本的に僕たちはストームポイントからピックをすることはアナリストのでぃじーさんと話し合って決めていました。
POIドラフト前日のスクリムで僕たちよりも前にピックするチームがストームポイントから選び始めて、RIDDLE ORDERがザ・ミルに来ると予想したうえで僕たちは5つくらいの候補があり、どれかを選べば問題ないというスタンスでした。
その上でランドマークとなったパイロンはアッシュ・コースティック・クリプト構成はリソースを使った勝負が強く、パイロンでULTを貯めてから動くことができるというのは有利に働くため、パイロンをピックできた点は良かったです。
E-Districtに関してはもっと悪い方向の予想で進めていた中で、高架橋が空いていて、BLGSで取っていたり、マップ内でも良い部類のため高架橋を選択しました。
——得意としているMAPはどのMAPですか
Rowhai:得意・不得意なMAPは無く、どのMAPでも対応できると考えています。
ただ、ここ最近ではブロークンムーンはやりやすく感じています。
——やりやすく感じているのは移動面、もしくはファイト面なのでしょうか
Rowhai:やりやすいのは移動面です。
理由としては安置の読みやすさの影響がやはり大きく、大きく外すことがあまりないので、いい場所を取れるとそのままいい流れに乗っていけるので、そういった観点はブロークンムーンが得意です。
“チームの強みはRowhai選手のIGLと高いチーム力”
——お二人が考えるチームの強みは何でしょうか
Rowhai:コミュニケーションを取れている時のチーム力の高さは結構高いと思います。
ちゃんりよ:事故らないようにRowhai選手のIGLでマクロを組めることとそのマクロを活かしてミクロに繋げることができる点です。
そしてそのミクロ面での強みはプロリーグ出場選手の中でもかなり上位のフィジカル(キャラクターコントロール、トラッキングスキル)を持っている7ne選手を前面に押し出しつつ、サポートの得意なRowhai・GURAN34選手がサポートをすることで1つのファイトを勝ち切るということがチームの強みだと考えています。
——他のチームメンバーはどのような印象でしょうか
Rowhai:7ne選手の印象は頼りがいのあるフラッガー・サブIGLといったイメージです。
GURAN34選手は明るく、チームの雰囲気が下がった時に上げてくれる面で頼りにしています。
ちゃんりよコーチは自分のIGLや意図に対して、的確なフィードバックをくれて成長させてもらっています。
ちゃんりよ:Rowhai選手は自信を持てば、最強のIGLです。
自信が無くて、自分の意見よりも他のメンバーの意見を優先する場面があるため、そこが治ればプロリーグでも上位を狙えるIGLになれるかと思います。
7ne選手は若い選手ながら、人間性も良く努力も惜しまないタイプで、勝ちに貪欲な選手です。
GURAN34選手はいい意味でも悪い意味でも少し抜けている部分がある選手なので、プロリーグではGURAN34選手の作る雰囲気が良い方に傾けば、いい流れに乗ってプロリーグを勝っていけるかと思います。
彼がRRXのYear5のカギを握っていると僕は思っています。
——でぃじーさんがアナリストとして加入されましたが、アナリストの加入によってコーチとしてはどのような動きがしやすくなるのでしょうか
ちゃんりよ:チームとして強くなるための人材だと思っています。
あとは僕だけの考え方だけだと選手の思考が固まってしまう部分はあるので、でぃじーの加入は選手の思考を柔らかくするという点でも良かったと思います。
自分と考え方が半分一緒で半分違うという人物なので、僕との意見を合わせて選手に伝える時もありますし、でぃじーから選手に直接伝えてもらう場面も作れたことで、より選手へのインプットができるようになりました。
——練習中も動き1つ1つに対して、どのような意図・理由があったのかを聞く部分が多く見られますが、1人1人に常に意識を持った動きを心がけてほしいという意図があるのでしょうか
ちゃんりよ:そうですね。何も考えずにプレイするのと1つ1つの動きに理由を持ってプレイしている方がフィードバックの質も上がりますし、メンバー内でコミュニケーションを取った際に具体的な話し合いになることがチームの成長に繋がると思います。
考えなしに成功するよりも考えてミスする方が僕は良いと思っています。
——直近でブートキャンプを行われましたが、チームにどのような影響がありましたか
Rowhai:普段はチームメイトに対して何か言うことはあまり無いのですが、今回のブートキャンプではチームメイトに対して意見をするなど自身の中でも変化があって、良かったです。
ちゃんりよ:僕自身の考えていたブートキャンプの目標は8割くらいクリアできたかなと思います。
個人的にはもう少し選手間での要求を癖付るという部分はもう少しできれば良かったかなと思っています。
ただ全体的に言えば、ブートキャンプの主な目的はお互いを知ることであり、その目的を果たすためにもブートキャンプはとても良いと思います。
——普段の会話などに関しては、スクリム中とは一変違った雰囲気なのでしょうか
Rowhai:スクリム中はかなり緊張感を持ちながらやっていますが、普段は明るい雰囲気ですかね。
練習と普段の生活とでしっかりメリハリをつけています。
ちゃんりよ:普段はザ・男の子みたいな会話もしていますし、スクリムとは全然雰囲気は違いますね。
スクリム中はやはり勝つためにやっているので、鬼気迫る感じでやっていますね。
ただスクリムが終われば楽しい雰囲気で、皆でご飯を一緒に食べに行ったりという感じです。
ブートキャンプ中は特にその点ではメリハリを持って、できました。
——メリハリという面ではコーチの方から何か指摘することはあるのですか
ちゃんりよ:指摘することはなく、言うよりも先に行動で示さなければ、説得力が無いと思うので、僕は先行して行動でメリハリをつけていますね。
——チームではIGLを担当されていますが、IGLという役割で難しいと感じる部分と楽しい部分はどこでしょうか
Rowhai:自身があまり持てない部分があるので、結構悩む時間が多くてチームとして曖昧な動きになって良いプレイができないという点が難しいです。
普段から優柔不断な面と選択肢の取捨選択が苦手な部分もあり、性格上判断しきれない点は難しいです。
楽しい部分は自分が出したコールや試合の組み立てが上手くいくと、楽しいですね。
——試合の序盤からの試合の組み立てが刺さる時と状況に応じて臨機応変に対応しきれた時とではどちらが楽しいと感じますか
Rowhai:試合の序盤からの組み立てが刺さる時は嬉しいと感じます。
楽しく感じる面では臨機応変に対応できた時ですね。
“昨日の自分に勝ち続けることを意識し続ける”
——ライバル視している選手、チームはいますか
Rowhai:特にライバル視している選手やチームはいません。
理由としてはちょっとクサいこと言ってるようになりますが、常に昨日の自分たちよりも一歩前に進めるようにという意識を持っているので、昨日の自分たちに勝つことを目標としています。
ちゃんりよ:僕もRowhai選手と同じで、ライバル視しているチームはいませんが昨日の自分たちに勝てないとプロリーグは勝ち上がれないと思うので、僕も昨日の自分たちに勝つことが重要だと思います。
注目チームとしてはプロリーグ昇格組からKINOTOROPE gamingですかね。
現在KINOTOROPE gamingでIGLを担当しているYukaPEROdator選手とはかなり長く一緒に競技を見てきて、自分で考えて動くというかなりIGL向きの選手という印象でした。
一時期Apexのモチベーションが下がっていたのもあり、LCQは競技から離れていましたが今は前と同じくらいApexをプレイしており、かなりモチベーション高い状態のYukaPEROdator選手がどのようにチームを仕上げてくるのかに注目したいですね。
——モチベーションが低下しないような選手のメンタルケアなどはどのように行っているのでしょうか
ちゃんりよ:できるだけ月に1回、選手1人1人とコミュニケーションを取るミーティングを行うことが1つです。
2つ目はタイトなスケジュールにおいて、月に1回は各選手・コーチが休みを取れる仕組みにすることで定期的に休むことができ、モチベーションの低下を防いでいます。
——Rowhai選手がモチベーション維持をするために心がけていることはありますか
Rowhai:ゲームに課金することですかね。(笑)
劇的にモチベーションが下がることはあまり無いので、Apexで新しいスキンやスーパーレジェンド武器を買うことでテンションを上げています。
——Rowhai選手はYear5からまた競技に戻られたかと思いますが、気持ちの切り替えは早いタイプですか
Rowhai:そうですね。前は大学生で学生をやりながら競技にも出ている状況で、学業に専念するという方針だったのですが、競技も頑張りたい気持ちがあったので、一旦休学して競技を頑張っていくという切り替えは早かったです。
——プロリーグ期間中にALGS OPENがあるという異例かつタイトなスケジュールですが、選手・コーチ視点でどのような印象でしょうか
Rowhai:個人的にはタイトなスケジュールの方が集中を持続させることができるので、やりやすいです。
ちゃんりよ:主には集中力を継続したまま、大会に臨むことができるので良いと思います。
またプロリーグ序盤でいい結果を残しせば、良い状態でALGS OPENに臨めますし、プロリーグが悪い結果でもALGS OPENで一度切り替えて臨めることができ、良い結果を残せればプロリーグ後半を良い状態で迎えることができるので、チームとしてもやりやすくなると思います。
ALGS OPENでは160チームとかなり多くのチームが参加しますが、この大会に向けて別で考えていることはありますか。
ちゃんりよ:僕としては他のチームのことを考えるよりは自分たちのスタイルがどこまで通用するのかを見るのが、いいと思います。
Rowhai:自分たちがやってきたことをできれば、結果は残せると思っています。
——様々なチームでコーチをされてきたかと思いますが、RRXはどのような特色のあるチームですか
ちゃんりよ:プロリーグに出場しているチームの中でも面白いチームだと思っています。
僕もでぃじーも考え方的には構成を考えるのが得意なタイプで、オルターを採用していたりと他のチームと違う点が多々見られるので、公式配信だけでなく、各選手の視点を見ると、より楽しむことができると思います。
——プロリーグとOPENへの意気込みとファンの方々へのメッセージをお願いします
Rowhai:今まで自分たちが練習してきたことをしっかり発揮し、強気にチャレンジする大会にできたらと思います。
「カマしに行きます」ので、応援よろしくお願いします!
ちゃんりよ:四字熟語で言うと「意志堅固」。
自分たちで決めたことに強い意志を持って、何があっても動じなければ強いチームになっていけると思うので、そういうチームになっていく過程をぜひ見てもらい、応援していただければと思います。
今回はRRX Apex部門からRowhai選手・ちゃんりよコーチにインタビューさせていただきました。
プロリーグ直前の大事な期間にも関わらず、ご対応いただき誠にありがとうございました。
取材・編集:eスポーツニュースジャパン 上原
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