【東京eスポーツフェスタ2026】優勝賞品は「本物のカニ」既存のeスポーツに無い“参入障壁の低さ”をインディーゲームが取り戻す? 地方自治体が熱視線を送る「特産品×eスポーツ」のポテンシャル【レポート】
2026年1月9日から1月11日まで、東京ビッグサイトにて「東京eスポーツフェスタ2026」が開催されています。
東京eスポーツフェスタ2026は、eスポーツの普及と関連産業の振興を目的として、東京都などが主催する国内最大級の総合イベントです。2020年の初開催から数えて今回で7回目を迎え、2026年1月9日から11日までの3日間、東京ビッグサイトを舞台に開催されています。

『ストリートファイター6』や『eFootball』、『ぷよぷよeスポーツ』などゲームタイトルを採用した「東京都知事杯eスポーツ競技大会」をはじめ、公式アンバサダーを務める「スタンミじゃぱん」さんによるトークショー等、eスポーツの多角的な発展を象徴する内容となっています。
また、産業振興の側面も強く、都内の中小企業や教育機関などが約50のブースを出展して最新の技術やサービスを披露。eスポーツ関連団体ならびに企業陣による発表を含め、ビジネスデイ(1日目)には企業間の交流を促すセミナーも行われました。

本稿では、東京eスポーツフェスタ2026/1日目に催されたビジネスセミナー「対戦型インディゲーム:開発者・育成者の視点と今後の可能性」の模様をレポート形式でお届けします。
Steam市場の28%を占める対戦ゲーム領域、その華やかな成功の裏に潜む“超ハイリスク・ハイリターン”な実態
東京eスポーツフェスタ2026の初日に開催されたビジネスセミナー「対戦型インディゲーム:開発者・育成者の視点と今後の可能性」では、市場のデータ分析と具体的な開発事例の両面から、インディゲームがeスポーツ業界に与える影響と未来が詳しく語られました。

本セミナーには、日本国内のインディゲーム開発者を支援するindie Game incubator(IGI)事務局長の佐藤翔氏と、『カニの喧嘩』などのヒット作で知られるカラッパゲームズ合同会社の大貫真史氏が登壇しました。
クリエイターを支援する佐藤氏はまず、PCゲームプラットフォームのSteamにおける詳細な市場データを提示しました。過去5年間でSteamからリリースされた約7万3000本ものタイトルのうち、対戦型(PvP)タグが付いたゲームは約8%の5815本に過ぎませんが、売上高で見ると市場全体の約28%にあたる1兆2600億円を叩き出しており、非常に効率の良いビジネス領域であることが明かされました。

その一方で、対戦型ゲームの売上中央値は246ドルとSteam全体の平均よりも低く、大手のメガヒットタイトルが市場を独占する一方で、売れる作品と売れない作品の差が極めて激しい「ハイリスク・ハイリターン」な世界であるという実態も指摘されました。

優勝賞品は「本物のカニ」。SNSを席巻したユニークな地方大会に見る、既存のプロシーンには真似できない“インディーならではの広報術”
開発者の視点として大貫氏は、自身の代表作である『カニの喧嘩』がどのようにeスポーツとして普及したかを解説しました。本作はカニが武器を持って戦うという奇抜なアイデアと、物理演算を用いた独特の操作性が特徴の格闘ゲームですが、「開発当初はeスポーツを強く意識していたわけでは無かった」(大貫氏)ようです。

それでもリリース後、富山県や福井県といったカニの産地の自治体やeスポーツ団体から「地元の特産品と結びつけた大会を開きたい」というオファーが相次ぎ、優勝者に本物のカニを贈呈するなどのユニークな取り組みがSNSで大きな話題を呼びました。

インディーゲームが地域のeスポーツ大会で選ばれる理由について、大貫氏は「参入障壁の低さ」を挙げています。流行している対戦格闘ゲームやFPS(ファーストパーソンシューター)では、熟練者と初心者の実力差が埋めがたく、当日ふらりと立ち寄った初心者が参加を躊躇するケースが多いのに対し、インディーゲームはその日初めて触った子供でも直感的に楽しめ、それでいてやり込むと奥が深いという、カジュアルさと競技性の両立が可能です。実際に『カニの喧嘩』では、Nintendo SwitchのJoy-Conを振って直感的に遊ぶ子供たちと、Discordなどでコミュニティを作り30回以上もオンライン大会を重ねる熱心な大人たちが共存しており、ファミリー層にも受け入れられやすい「暴力性の低さ」も行政主導のイベントでは強みになっています。

セミナー後半では、今後のインディーゲームのトレンドについても議論されました。佐藤氏は、学生が制作して270万本以上のヒットを記録した『FPS Chess』のように、「チェスで駒を取る時にFPSが始まる」といった「これは何だ?」とユーザーに思わせる斬新なアイデアこそが、資本力で劣るインディゲームが注目を集める鍵であると述べました。また、スウェーデンの支援プログラムから生まれた『V Rising』の成功例を引き合いに出し、日本国内でもIGIのようなインキュベーションプログラムを通じて、開発面だけでなくビジネス面や海外展開のサポートを強化していく重要性が強調されました。

最後に大貫氏は、インディーゲームの最大の魅力は「何を戦わせてもいい自由さ」にあり、既存のジャンルのセオリーや「格ゲーとはこうあるべき」といったマナーから外れたチャレンジができる点にあると語りました。また、自分が住んでいる地域の特色(例えば海の近くならカニなど)をアイデアの出発点にすることで、都会の大きな会社には真似できない独自の強みを生み出せる可能性があると、次世代の開発者へ向けてエールを送りました。このセミナーは、インディゲームが単なる小規模な開発にとどまらず、地域経済の活性化や新しいeスポーツジャンルの創出を担う大きな可能性を秘めていることを示して締めくくられました

東京eスポーツフェスタ2026 公式サイト
https://tokyoesportsfesta.jp/
東京eスポーツフェスタ2026 公式X
https://x.com/esportsfesta
東京eスポーツフェスタ2026 公式Youtube
https://www.youtube.com/@東京eスポーツフェスタ
執筆:eスポーツニュースジャパン編集部







