『LoL』競技シーンに刻まれた「インセク」誕生の経緯を振り返る【おすすめ動画】
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本コーナーでは、筆者がeスポ読者の方々へおすすめしたいゲーム作品、動画、トピックなどを独断と偏見を交えながらお届けします。
『LoL』シーンを一変させた「リー・シン」の超絶プレー
今回ご紹介するのは、theScore esportsが投稿した「The INSEC Kick! A Revolutionary Lee Sin Combo」です(公開日:2017年12月8日)
本動画は、PC用ゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)で使われるテクニック「インセク」に焦点が当てられています。
『LoL』を日常的に遊んでいるプレイヤーであれば、一度はインセクという言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。様々な専門用語が使われる『LoL』ですが、インセクは10年以上にわたって一般的なプレイシーンや競技シーンで用いられています。
具体的にインセクとは、ファイター系列のチャンピオン「リー・シン」のULT「龍の怒り」で対象チャンピオンを任意の位置へ蹴り飛ばす行為を指します。
例えば自チームと相手チームが集団で睨み合っている際、リー・シンがまず「響掌/共鳴撃」で相手チームのチャンピオンへ飛びつき、すかさず飛びついた相手チャンピオンの後方にワードを設置。間髪いれずに置いたワードへ「守りの型/鉄の意志」でリープし、相手チャンピオンの後方からULTを発動。自チームへ目掛けて対象チャンピオンをキックし、集団で総攻撃を仕掛ける……というのが、リー・シンによるインセクの代表例と言えるでしょう。
インセクの語源となったのは、何も昆虫が関係しているわけではありません。その由来は、『LoL』競技シーンで活躍したプロeスポーツプレイヤー”inSec”選手の鮮やかなプレイングです。
11年前に行われた競技イベント「All-Star 2013 Shanghai」において、inSec選手は戦局を一変させる見事な”龍の怒り”を披露したのです。上述のテクニックを使い、相手チームの”Yellow Pete”選手が操る「ヴァルス」を自チーム側へ蹴り飛ばし、そのまま味方と連携を取りながら集団戦を勝利に導きました。この一瞬の虚を突くプレイングは瞬く間に話題となり、inSec選手の名前がそのままテクニック名として広まるきっかけになりました。
インセクの登場や『LoL』シーンの成熟に伴い、その後各所で様々な派生テクニックが生まれていきました。中でもワードジャンプ(守りの型/鉄の意志でワードに飛びつく)の代わりにフラッシュで相手チャンピオンの後方に回り込む「チャイニーズインセク」はその代表例だと言えるでしょう。
そのほか、「ジャンナ」のULT「嵐の怒り」や「シン・ジャオ」のULT「三日月槍守」など、『LoL』にはインセクに使えるスキルが数多く存在します。一方で「アジール」のULT「皇帝の分砂嶺」も相手チャンピオンをノックバックさせるULTですが、こちらはインセクではなく「シュリーマシャッフル」と呼ばれ、2023年度の世界大会で”Faker”選手が披露したテクニックとして注目を浴びました。
『LoL』の歴史において、ひときわ鮮やかなテクニックとして耳目を集めてきたインセク。実際に行ってみると思いのほか難しく、スムーズに実行するためにはそれなりの練習が必要とされています。だからこそ、インセクは『LoL』のプレイシーンにおける一種の花形と認識されているのかもしれません。
余談ではありますが、2024年12月14日~15日にかけて開かれるオフラインイベント「Riot Games ONE 2024」にて、インセクを開発したinSec氏が来日し、一日限りのエキシビジョンマッチに参加する予定です。興味のある方は忘れずにチェックしておきましょう。
執筆:eスポーツニュースジャパン編集部